神は細部に宿る(第92回全国高校ラグビー埼玉県予選)。

結果的には,Aシードが準決勝へと上がってきています。


 ひとつひとつのゲームについては,ゆっくりと書いていこう(Aシード校を出身校とする立場としては,なかなかニュートラルには見られないところもありますが。),と思っていますが,まずはノンシード視点で印象を書きとめておこうかな,と思います。


 早い段階でリズムをAシードに握られてしまって,なかなか反撃のきっかけをつかめなかったチームもありますし,逆に接戦に持ち込むことができたチームもあります。でも,結果的にはAシードが準決勝への切符をつかんだ。Aシードと,Bシード以下のチームとの差がどこにあるのかな,と思うに,個人的にはやはり,ディテールなのかな,と思っています。


 Aシードは,それぞれに特徴を持っています。強み,と言うこともできるでしょうか。でも,本当の強みは,自分たちの形へと相手を引き込むために何をすべきか,ということを理解していて,その理解していることを実際に表現できることにあるのかな,と思っているのです。相手にリズムを持っていかれる,という局面で,その流れを寸断するプレーができる。ミスを誘発すれば,相手に流れを持っていかれかねない,という局面で,ミスを(100%は当然あり得ませんが)ミスを抑え込むことができる。


 試合全体の時間からすれば,ごく小さな局面の話です。


 でも,この小さな局面が試合全体を左右することになるのも確かだろう,と思うのです。ミスを出さずに攻撃を継続できればともすれば,という局面を,シードは潰しにくるし,実際に潰すことができる。対戦相手からすれば,相当な圧力を感じたかも知れません。らしい形に持ち込めるか,という局面でリズムを失うのですから,試合のコントロールは確かに難しかったかな,とも思います。しかし,その圧力であったり難しさこそが,ノンシードがシードへと近づき,そして,予選での勝負権をつかみ取っていくための鍵なのではないかな,と思うのです。


 準々決勝で感じた壁は,必ずチームを進化させるヒントになってくれる,と思います。壁の感触をもういちど,同じフィールドで感じてほしい,と思いますし,その壁をより小さく,乗り越えられるほどに小さくしてくれることを期待したい,と思います。