対仙台戦(12−29A)。

“6 pointer”で勝ち点0に抑え込まれたのは確かなこと。


 そのことで首位との距離が開いたことも重要なのですが,もっと重要な部分があるようにも感じています。


 アウェイ・マッチな仙台戦であります。ちょっとばかり遅れてのエントリでもありますので,試合内容,だけでなく,ここ数節を含めて感じるところを書いておこう,と思います。


 ごく立ち上がりの時間帯での失点,というのが大きくチームにのしかかってしまったかな,と感じます。ここ数節,なかなか主導権を掌握できないままに先制点を奪われ,リズムを崩していく,という形に嵌り込んでいたように感じますが,今節は相手にリズムを握られる時間帯があまりに早かった。


 今季,浦和の守備応対はシンプルな攻撃に対して意外な脆さを見せることがあります。


 ひとに対する守備意識,というよりもエリアを意識した守備応対であることも作用しているのかも知れませんが,であるとすれば,ひとへの守備へと意識を切り替える,その切り替えがスムーズさを欠く局面が多いように感じます。マークに付いているフットボーラー,そのフットボーラー自身の判断の問題もありましょうが,視界に入っているフットボーラーによるコーチングを含めて,エリアからひとへと守備意識を転換させていく,そのタイミングなどの意思疎通が煮詰まっていかないと,と感じさせる部分があります。


 もうひとつ。勝ち点3を奪うためのアプローチが,対戦相手によって封じられるケースが多くなってきました。


 ビルドアップのごく初期段階まではリズムを握ることができるとしても,縦にボールを繰り出す,そのタイミングを対戦相手は抑えてきます。そのときに,パッケージで微調整をかけるのか,相手のスカウティングを超えようとするか。ここで,「機動性」を活かしてほしいのですが,ここ数節のチームはネガティブな意味で,「ポジション・フットボール」な動きをしてしまっているように思います。端的に書いてしまえば,パスを「待ち受けている」形がいささか多い。相手ディフェンスとの駆け引きであったりが見えてこないし,その駆け引きからスペースを狙うフリーラン,パスを呼び込む形のフリーランがなかなか見えてこない。スペースを奪う,という意識がなかなかピッチから感じ取れない時間帯ができてしまっているように思うのです。窮屈な状態ならば,スペースを「奪い直す」ためのアクションがあってもいいし,そのアクションと連動する形のバックパスならば問題はないのですが,ここ数節はバックパスとスペースを奪い直す動きがかみ合っているようには感じられない。ボールを動かすために,ひとが動く,という意識をあらためて確認する必要があるのかな,と感じるところです。


 今季,浦和は敗戦から課題を見出し,その課題を続く実戦でクリアしてきました。


 ある意味,順調すぎるほどに順調な循環が機能していた,と言っていいかも知れません。その循環が途切れかかっているだけに,基盤が揺らいではいないか,と外野は心配するわけですが,選手が残しているコメントを見る限り,戻るべき場所,拠って立つべき基盤に対する信頼は揺らいでいないように感じられます。シーズンが始まる前,指揮官は明確に「インテリジェンス」を要求したように記憶しています。スペースを奪うために何が必要なのか,など,あらゆる部分にインテリジェンスは必要であるはずです。当然,そのインテリジェンスは「走る」ための基盤でもあります。ボールを走らせるために,ひとが走る。当然,その2つの要素がリンクするためには共通するイメージが必要だし,インテリジェンスが必要でもあります。この,「基礎」に立ち戻るべき時期なのかな,と感じるところです。