第92回全国高校ラグビー埼玉県予選(2回戦まで)。

残念ながら,注目度は低いと思います。


 確かにトーナメントは動き出しているのですが,本格的なトーナメント,花園への指定席切符を争うカップ戦の雰囲気が感じられるようになるのは,やはりBグラウンドであったりCグラウンドを舞台とする,3回戦以降という印象も強いものがあります。


 ありますが,今季のトーナメントは早い段階から熾烈さを見せているようです。


 さて。今回はフットボール,と言いましても楕円球方面の話を高体連ラグビー専門部さんのウェブページをもとにしながら書いていこう,と思います。


 県予選は2回戦が9月30日に終了して,Bグラウンド,あるいはCグラウンドで戦うための切符(ブロックによっては,Aシードへの挑戦権を意味する切符でもありますね。)が確定した段階です。かつてAシードとしてクレジットされていたチームであったり,Bシードであったチームもクレジットされているわけですから,1回戦,2回戦であっても決して簡単なものではないはずですが,なかなかに厳しい試合も展開されていたようです。それでは,ノンシードを中心に気になったチームをいくつか取り上げていくことにします。


 まず,伊奈学園であります。早大本庄との初戦を54−5で制すると,2回戦は初戦を抽選で突破した(12−12のイーブン・スコアであります。)埼玉栄を69−7で退け,深谷への挑戦権を意味する3回戦への切符をつかんでおります。このスコアを見る限り,楽しみなチームが深谷への挑戦権を得たな,と思います。ファイナル・スコアから見る限り,なかなか攻撃的な姿勢を持ったチームのようですし,その攻撃的な姿勢を3回戦にあっても見せてほしい,と思うところです。


 続いては,昌平であります。新座との初戦を75−0で制し,2回戦では所沢北を36−7で退けて,Bシード校である進修館との3回戦に駒を進めてきました。記憶が確かならば,ここ数季なかなかそのクレジットを見かけることのなかったチームだと思いますが,それだけに,どこまで存在感を強めていってくれるのか,が楽しみなチームです。慶應志木への挑戦権を獲得したのは,接戦の2回戦を制した立教新座であります。細田学園との初戦を大差で勝ち上がったことから,その流れを2回戦に持ち込んでくるのか,と見ていたのですが,城西川越との2回戦は厳しい試合となりました。得点差は,1PG相当であります。ゴールチャンスを決めることができたか(反対側の視点から見れば,相手のキックレンジに入るエリアで厳しく,でもノーファールな守備応対ができたかどうか),という部分が3回戦への切符,その帰趨を分けたとも言えるわけで,トーナメントの持つ厳しさは2回戦段階でも感じられるところです。この厳しさをより強く感じさせるのが,浦和工とBシード校である松山で戦われた2回戦です。得点差はわずかに1。文字通りの僅差をものにして,ノンシードの浦和工が3回戦への切符をつかんだわけです。


 トーナメントを勝ち上がっていくチームは,不思議とどこかで「壁」にぶつかるような気がします。初戦からスムーズにカップ戦を戦っているチームも,どこかの段階で厳しい試合にぶち当たる。その厳しい試合を制することができるか,それともできないか,が頂点に上れるかどうか,を分けるような印象があるのです。その意味で,ノンシードから僅差の試合を勝ち上がったチームはどこかで,それまでのチームからワンステップ上がったのではないかな,と感じます。もちろん,より高い壁がすでに用意されています。Aシードの壁,です。その壁を乗り越えるだけのステップアップ,ではないかも知れませんが,厳しい試合を乗り越えてきた,という意識は必ずポジティブな効果を与えてくれるはず,と思うところです。


 Bシードと互角以上の戦いを見せ,3回戦へと駒を進めるチームがある。少なくとも,Bシードとノンシードとの距離は縮まっている,とも言えるかな,と思うわけです。では,Aシードとの距離はどうか。Bシードとの距離と同じく,縮まってきているのか,それともまだまだ距離感を感じさせるものがあるのか。そんな部分からも,3回戦が楽しみだったりするわけです。