対札幌戦(12−28)。

決めるべき局面に決めないと,試合は難しくなる。


 だけでなく,勝ち点を失うことになる。


 相手が,浦和の強みを抑え込むことを意識して試合に入ってきた,という部分では26節と共通する要素も確かにありますし,26節から継続している課題を感じる要素もあります。反面で,自分たちから試合を必要以上に複雑にしてしまったな,という印象も強く残ります。


 いつものように,の札幌戦であります。


 残念ながら,26節で見えた課題は,今節にあっても継続してしまったかな,と思います。ビルドアップでのプラスアルファ,であります。


 相手守備ブロックは,攻撃ユニットの視界を奪い,スペースを奪うような守備応対を仕掛けてきます。さらに,前線はビルドアップ初期段階を狙って,チェイシングを繰り返してきます。高い機動性を要求されるやり方ですが,その機動性はなかなか低下することがありませんでした。


 それでも,心理的に悪循環に嵌り込んでいなかった(と,少なくともアウトサイドからは感じられる)前半は,後手を踏むこともなく自分たちが狙う形で相手ディフェンスを攻略しよう,という意識が表現されていたし,決定機を作り出すこともできていました。


 問題は,後半の戦い方です。


 積極的にチャレンジを仕掛けた結果,としてのミステイクでもなく,むしろ危険なエリアでのアンフォースト・エラー,と表現せざるを得ないミスから先制点を奪われてしまったあとの戦い方,であります。


 ポジションを微調整しながらボールホルダーの視界に入ろうとする,ワンクッションがなかなか表現できていないように感じます。相手ディフェンスとの駆け引きをしながらボールを引き出す,のではなくて,ボールホルダーが見えているタイミングだけで,ボールを呼び込もうとだけしている時間帯が,思いのほか多かったように感じます。そのために,ボールホルダーがイーブン,よりも難しいチャレンジ・パスを繰り出す形が増えてしまい,結果的にボール・コントロールを中途半端に高いエリアで失うことになり,相手のカウンターを受ける形になってしまう。さらに,縦方向での循環が機能する時間が少なかったり,サイドでの関係性も心理面が影響しているのか,お互いがお互いのプレーエリアを潰すような形になってしまう時間帯があった。


 守備応対面にしても,相手ボールホルダーへのアタックを仕掛けるのか,それともスペースへのカバーリングに入っていくのか,が曖昧な形になっている局面が意外に多くて,結果として相手攻撃ユニットをかなり深いエリアにまでフリーな状態で侵入させてしまう形になっていました。ボールホルダーへのアタックを,どのエリアで仕掛けるのか,そのカバーリングにどう入るのか,今節にあってはチームとしての約束事が明確に表現されているとは言いがたい状態だったように思います。


 さらに。チームが,リアクティブになる時間帯が多かったな,と思います。


 ボールを落ち着かせてから自分たちの攻撃に持ち込んでいく,という局面がかなり少なくなってしまっていたように思うのです。ボールホルダーへのアプローチが厳しく仕掛けられている,ということの裏返しかも知れませんが,ボール・コントロールを取り戻してからすぐに攻撃へのギアをトップギアに入れてしまうような,そんな仕掛け方が目立ってしまっていました。もちろん,相手守備ブロックのバランスが崩れている局面では,鋭くシンプルに縦を狙う,その姿勢が重要な鍵になるのですが,相手に合わせ過ぎていた,という部分が気になるのです。特に後半は自分たちのリズムで試合を動かす,というよりも,相手がセットしたリズムの中で自分たちのフットボールを表現「させられて」いた時間帯になってしまったな,と思うのです。


 チームとしての約束事,狙うべきフットボールが浸透してきているとしても,その戦術的な約束事,浦和として表現すべきフットボールをどのように表現するのか,その表現方法に微調整であったり,応用を加えていく必要がある,そんな時期だろうと思うのですが,微調整,あるいは応用の必要性が意識されているとしても,安定した表現にまで到っていない。スタンディングだけを取り出せば,確かに頂点を狙える位置にいるのは確かですが,「荒削りさ」を感じさせる部分は,やはり再構築のシーズンなのだ,ということを意識させるものがあります。


 足らざる部分が見えてくるのは,ある意味仕方ないこと。


 スタンディング「だけ」を意識して,自分たちのフットボール,そのイメージが曖昧なものになってしまってはもったいない。スタンディングも確かに重要ではあるけれど,「勝ち点3」を奪うために,その足らざる要素をどのように埋めていくのか,が最優先課題なのかな,と思ったりします。