対柏戦(12−27A)。

「欧州的なアウェイ」か,と思いかけた時間帯。


 その時間帯,チームは「欧州的なアウェイ」を決して意識していなかったはずです。でなければ,ゴーリーはスローを選択することはなかったかも知れませんし,ターゲットにしてもゴーリーのボールにしっかりと反応することはできなかった,かも知れません。そして前半の段階で投入されたトップも,ボールが供給されることを信じて縦へ駆け抜けることはなかったかも知れませんし,マークに付いた相手DFよりも先にボールに触ることはなかった,かも知れません。


 アディショナル・タイムの攻撃は,ともすれば「らしさ」からは遠いものだったかも知れません。キック&ラッシュ,ではなくてスロー&ラッシュ,それも典型的な「縦」を狙う攻撃の形でした。けれど,あの局面には複数の要素が表現されていたようにも思うのです。


 おひさしぶりでございます。店主でございます。


 25節のエントリを上げて以降,更新も止まっているしいよいよフェードアウトか,と思われた方もおられるかな,と思いますが,そうではないのであります。基本的には精密機器であることを意識しないで使えるTPではあるのですが,意外な弱点を持っているTPもありまして,その弱点に見事に引っ掛かってしまったのです。で,修理を依頼していた関係で,夏休みでもないのに中途半端に長いお休みをいただくことになってしまった,というわけなのです(無事,戻ってまいりました)。


 さて,国立霞ヶ丘でのアウェイ・マッチな柏戦であります。いつも通り,よりもさらに遅れたタイミングでのエントリですので,思うところをコンパクト方向で書いていこう,と思います。


 まずは,対戦相手方向から試合を振り返ってみるに。


 恐らく,前節の結果を受けて,柏もG大阪と同じようなゲーム・プランを描いてきたとは思うのですが,その表現度に少なからぬ違いがあったかな,と思います。前節では,中盤での守備応対にルーズさが見える時間帯はほぼ抑え込まれていました。加えて,前線から最終ラインに到るまでの連動性が感じられました。組織として浦和を抑え込む,という意識が徹底されていました。対して今節は,中盤での守備応対が徹底されていた,という印象までは受けていません。当然,柏とG大阪とでは戦力的な個性に違いがあるわけですが,その個性の違いが組織的な守備応対,という部分に違いを見せていたように思うのです。狙いは同じであるとしても,機動性や組織性という要素に違いがあって,その違いゆえに表現度に違いを生じていたように思うわけです。


 そこで浦和に視点を戻すと。


 タイトな守備応対を受けている,という状況に対してどのようなビルドアップをしていくか,という要素が見えていたように感じます。前節は,アタッキング・ミッドフィールドやトップが相手の厳しいマークを受けて,かなり窮屈な状態だったにもかかわらずチャレンジ・パスを繰り出すようなビルドアップが多く,結果としてボール・コントロールを失ってしまう,という悪循環に嵌り込んでいったわけですが,今節はビルドアップ段階でアタッキング・ミッドフィールド,トップへのマークを引き剥がすようなワンクッションを落とし込んできていたように感じます。スカウティングとは異なるビルドアップを仕掛けていくことで,アタッキングに付いているマーカーが,そのマークを外してボールホルダーに付かざるを得ない局面を作り出すことで,スペースを作り出していく。まだできる部分も当然にある,と思いますが,縦での変化がチーム戦術に幅を持たせてきている,と感じるところです。


 さてさて。今節での「勝ち点3」が意味するところは大きいように思います。


 前節の敗戦を受けても,チームの戦術的な基盤は決して揺らいでいないし,チームが強い反発力を持っていることを,結果で証明できている。そしてその結果が,まだ勝負権を失っていないこと,勝負権を保持していることの証明にもなっている。リーグ戦終盤,さらに難しいゲームが続いていくことになるはずですが,今節のようなゲームを勝ちきった,ということは決して小さくない手応えをチームにもたらしてくれるのではないかな,と思います。