対横浜FM戦(12−25A)。

流れを引き戻して,勝ち点3を奪ったこと。


 残り試合数が少なくなっている時期に,チームが反発力を表現して勝ち点3を奪えたことは,決して小さくない意味があるな,と思います。とは言え,立ち上がりの時間帯にリズムを相手に譲り渡してしまった要因の把握,そして同じ形を繰り返さないための確認作業が必要なのは言うまでもないこと,ですが。


 アウェイ・マッチな横浜FM戦であります。今回は短めに。


 まずは課題面ですが,やはり試合の立ち上がり,でありましょう。ここ数節,立ち上がりから積極的にリズムを奪いに行く姿勢を見せ,早い段階で先制点(と,追加点)を奪取,後半はゲームを落ち着かせていく方向にシフトする(と好意的に解釈することもできるけれど,守備的になり過ぎてしまう,とも言えます。),という形が見えていました。今節は,そのリズムがなかなか奪えなかったのみならず,先制点を奪われてしまいます。どんな相手に対しても,早い段階で自分たちの形に持ち込む(相手の強みを消し去りながら,自分たちの形へと引き込んでいく),という部分で言うならば,まだ煮詰めていくべき要素がある,と感じさせる部分です。


 試合への入り方を失敗して,相手に先手を取られる。


 この段階で止まることがなかった,というのが最も大きな収穫かな,と感じます。また,先制点を奪われてから,それほど時間を経過することなくスコアをイーブンの状態へと引き戻すことができたことも,「勝ち点3」を引き寄せるための大きな要素だったかな,と見ています。


 ビハインドを負った状態からの戦い方を振り返ってみるに,リズムを奪われた状態にあっても,冷静に自分たちのフットボールへと相手を再び引き込んでいくためのアプローチを続けられるようになっている,と感じます。といっても,相手に抑え込まれている形を強引に押し切る,という意味ではありません。自分たちのフットボールへと相手を引き込むための戦術的なアプローチを,局面に応じて変えていくことができてきているな,と見ているのです。たとえば,ひとつの戦術的なアプローチが相手によって抑え込まれたとしても,戦術的なオプションを複数持てるようになってきているから,局面に応じて違う組み立て方ができるようになっている。このときに,ひとりひとりの戦術眼が活かせるようになっている,今節で言えば「縦方向の流動性」がチームとして活かせていることが大きな要素だな,と思うのです。縦方向の変化によって,(恐らくは,スカウティングによって浦和の出方をある意味固定的にイメージしているだろう)相手守備ブロックに対して混乱を与えることができるし,決定機を作り出すこともできる。


 恐らく,内容面だけで見れば課題,とすべき部分が多い試合ではないかな,と思います。しかしながら,「らしさ」を抑え込まれたとしても結果を引き出さなくてはいけない時期に差し掛かっているのも,また確かではないかな,と思っています。その意味で,コントロールを失いかけた状態から主導権を引き戻し,「勝ち点3」奪取へと結び付けることができたのは,混戦状態にあるリーグ戦にあって「勝負権」を持ちつつある,とも見ることができるように思うのです。