対イラク戦(アジア最終予選)。

ものの見事に,奇策でありましたですね。


 でありながら,「欧州的なアウェイ」を意識していたわけでもなさそうです。「勝ち点1」を確保するためのゲーム・プランではなくて,「勝ち点3」を奪うためのゲーム・プランを描いていたように感じます。それだけに,立ち上がりからの時間帯が相手にとっては,最も重要な時間帯だったかな,と思うのですが,この時間帯を耐えられたことが,「勝ち点3」につながる要素だったかな,と思います。


 まいど1日遅れ,でありますが,のイラク戦であります。


 今回は,ちょっと視点を対戦相手側に持っていって,試合を振り返ってみよう,と思います。


 思うに,スターターの大幅変更は撹乱要因ではあったけれど,実際のゲーム・プランはマンマーク(ほぼ,ストリクト・マンマークと言っていいような。)で中盤でのリズムを崩し,ビルドアップでチーム・バランスを崩したところをシンプルに狙う,というものではなかったかな,と思います。であるならば,立ち上がりの時間帯,ボールが思うように動かせない,という意識であったり,ボールを狙うエリアでなかなか奪えない,という意識があったとすれば,ちょっとばかり相手の術中に嵌ったかな,と思うところです。


 この時間帯を踏みとどまったことは大きいな,と思うわけですね。守備ブロック,といいますか,ゴーリーが危険な局面を潰してくれたことで,相手が狙う形に陥らずに済んだ。ボールをシンプルに動かす,その起点を相手のストリクト・マンマークによって潰され,なかなかリズムをつかめなかったのは確かですが,狙うフットボールが決して揺らいでいない,むしろしっかりとイメージされていることが,先制点(にして決勝点)を奪った局面に表現されていたように思います。


 いわゆる,スローインからのリスタート,というイメージではありませんでした。スロワーがパサーとして位置付けられるような,そんなリスタートでした。スローインからのボールを呼び込もうとする動きは,そのまま相手DF背後にあるスペースを突く動きでしたし,そのイメージを感じたスロー,です。そして,この動きに連動して,センターも相手守備ブロック背後のスペースを狙っている。ひとりひとりの持っている個,その個が戦術イメージを表現するにあたって重要なのは当然として,個がしっかりと組織的な要素でバインドされていることが感じられる,そんな局面でした。


 試合全体からすれば,確かにゴールという部分が足りないかな,とは思いますし,後半の戦いぶりを見る限り,限りなく追加点の可能性は高かったとは思います。思いますが,本戦への指定席切符を奪うためには「勝ち点3」が圧倒的に重要なのも確かです。内容面でどんな部分をブラッシュアップしていくべきか,すでにチームは意識しているはずです。むしろ,これからのアウェイ・マッチである程度のフリーハンドを持てる,その前提をつくれたことが大きな要素であるように思うのです。