対大宮戦(12−24)。

必要以上にネガティブに傾く必要はない,と思うけれど。


 試合を必要以上に難しくしてしまった,特に後半の戦い方を難しくしてしまった要因は自分たちにある,という部分は大きな課題ではないかな,と思います。攻撃面で見るならば,決めるべき局面でしっかりとボールをゴールマウスにおいてくること,であり,守備応対面で見るならば,チームの約束事であるゾーン・ディフェンス,その約束事を意図的に崩してひとへの守備へと切り替える,その状況判断が課題となってくるのかな,と感じます。


 ひさびさに,真正面からフットボール,のエントリであります。大宮戦であります。


 さて。いつものように試合をごく大ざっぱに2分割してみますと。


 前半は,「ほぼ」プラン通り,だったのではないでしょうか。また,ビルドアップ段階でプレッシャーを受けてもバタつくことなく,丁寧にパスをつなぎながらギアチェンジのタイミングを狙う,という部分は,チーム・コンセプトがしっかりと浸透してきている,という印象を与えるものでした。


 アウトサイドから推理するに,相手は浦和のアウトサイドをどう潰すか,ということではなくて,ボール奪取のイメージからゲーム・プランを組み立ててきたのではないか,と感じます。トップとアタッキング・ミッドフィールドが積極的にビルドアップ段階でのボール奪取を狙い,プレッシャーを掛け与えていく。そのプレッシャーをしっかりと回避しながら,高いエリアを維持しているアウトサイドへとボールを繰り出していく。先制点奪取の局面を含めて,前半段階は狙うフットボールをしっかりと表現できたように思います。


 けれど,最終的なフィニッシュだけが抜け落ちてしまっていた。偶然,であったりちょっとした幸運が作用しなかった,という言い方をしたくなるところでもあり,“Not our day”という印象に結び付く部分でもあるのですが,同時に決めるべき局面,試合を自分たちのものへとしっかり引き寄せることのできる局面を決めきれなかったのも確かです。となると,必要以上に試合が難しくなりかねないし,実際に試合は難しくなってしまった。ハーフタイムを意識する時間帯での失点,であります。


 局面ごとに考えるならば,ゾーン・ディフェンスという約束事を意識しながらの守備応対だったようにも思うのですが,意図的に「約束破り」をするべき時間帯ではなかったか,と感じます。ゾーンをケアするタイミングではなく,ひとに対して厳しくプレッシャーを掛け与えるべき時間帯,局面ではなかったか,と。恐らく,エリアとしてはちょっと高め,だったかも知れませんが,ゾーンに対する意識を崩してひとへのアプローチを厳しくいくべき局面だったように感じますし,「応用」としてどこかで意識しておくべき(代償としてはいささか大きいものですが)レッスンではなかったかな,と感じるところです。


 続いて後半でありますが。


 丁寧に,相手守備ブロックを揺さぶっていくためのアプローチを繰り返していたな,と感じます。今季,チームとして表現しようとするフットボール,そのフットボールへの確信がしっかりと深まってきていることが見て取れたように思うのです。


 ショートハンドに陥っている相手からすれば,後半の戦い方はある意味,明確過ぎるほどに明確です。チーム全体としてのポジショニング・バランスを意識しながら,攻撃をはね返していく。相手が焦れてバランスを崩してくるタイミングを狙って,カウンターを仕掛けていく,と。そんな意識が徹底されていたのか,なかなか相手守備ブロック,特にCBとセントラル・ミッドフィールドの守備バランスはなかなか崩れなかった。その守備ブロックを横方向へと引っ張り出し,バランスを崩す(縦を狙うためのスペースをつくる)べくボールをサイドに展開していく,という姿勢を徹底していたのだけれど,なかなか守備ブロックを引っ張りきれなかった,という印象が残っています。


 基盤となる戦術的な約束事は,決して前半と変わるところはなかったと思うのですが,パス交換などのリズムに微妙なズレを感じる時間帯が,後半にあっては増えてしまっていたように感じます。


 たとえば,パスを繰り出そうとするフットボーラー,その視界に入っていくような予備動作にタイムラグが出てきているように感じました。自分たちのリズムでボールを動かしているようには見えるのですが,前半段階とは違ってパスを引き出そうとするフットボーラー,その動き出しにちょっとした重さが出てきてしまっているように見て取れたわけです。パス・コースを広げるための予備動作(スペースを狙うためのアクション)が少なくなってしまっているから,結果として厳しいチャレンジ・パスを仕掛けるような局面になってしまって,ボール・コントロールを相手に奪われる,という形も増えてしまっていたように感じます。そこで,自分たちから誘発してしまっているミス(アンフォースト・エラー)も関わっている。前半では,効果的に潰せていたミスが,後半段階になるとミス,アンフォースト・エラーが抑え込めなくなってくる。


 戦い方が明確になっている相手に対して,ロジカルに攻撃を組み立てようとした姿勢は決して悪いものではありませんでしたが,精度,であったり,ちょっと遠めのレンジから仕掛けていくことで相手守備ブロックに「迷い」を生じさせることができなかった,という部分が課題として残るように思います。後半の微妙なリズムのズレ,そのズレを微調整しながら攻撃リズムを強めていく,という部分から戦術交代を考えるならば,まだ交代によって投入されるフットボーラーがリズムを変化させられるだけのインパクトをチームに持ち込めていない(スターターとリザーブとで実戦感覚,戦術理解度などでギャップが発生している)ように感じますし,ギアチェンジを効果的なものとするためにもリザーブボトムアップは大きな課題になっていくはずです。それでも,今季のチームは見えてきた課題を着実に潰していっている,とも感じます。このペースを見失わないこと,が今節手放した「勝ち点2」を埋めていく要素になるのかな,と思うところです。