ヱスビー陸上部廃部へ。

ひとつの時代が終わるのだな,という印象です。


 と同時に,「新たな枠組み」の必要性が喫緊の課題になりつつあるのかな,という思いもまた,持ったりします。


 今回も,フットボールを離れましてこちらの記事をもとに書いていこう,と思います。


 ヱスビー食品陸上部,というイメージはやはり長距離,それもマラソン競技ではないかな,と思います。瀬古さんであったり,新宅さんのイメージであります。そのイメージが,なかなか新たな選手で上書きしきれなかったようにも感じるのです。


 確か,瀬古さんが監督を務められていた時代,早稲田の長距離選手が複数ヱスビーに入った記憶があります。再びヱスビーが長距離で存在感を強めていくのかな,と思ったのですが,実際にはそれほど存在感が強まった,という記憶はありません。そのあとも,なかなか有力な選手がヱスビーに加入,という話は聞けませんでした。有力な選手は,ヱスビーとは違う実業団チームを選んでいたわけです。もちろん,北京五輪の代表選手を輩出しているのですから,チカラを失ったチームという評価はフェアではないと思います。マラソン競技,それも少数精鋭の体制にこだわって活動してきた,という見方も当然成立するはずです。しかしながら,少数精鋭ということを違った視点から見れば,なかなか選手層を分厚くすることができなかった,具体的には全日本実業団を狙えるほどの活動規模を維持できていなかったとも言えるし,チーム内で切磋琢磨する環境をつくりきれていなかった,とも見ることができるかな,と思うところです。であるとすれば,歴史ある陸上部が活動を止めることに対して寂しさを感じるのは確かですが,ヱスビーの存在感が長距離で薄まってきてしまっていたことを思うと,仕方ない部分もあるのかな,と思うのです。


 陸上競技に限定した話ではありませんが,メディア訴求度が高いとは言えない競技ですと,どうしても継続的な会社からのサポートは大きな要素です。実業団がスポーツを支える重要な基盤,という見方はこのことが背景だと思います。しかしながら,バブル崩壊後の流れを見る限り,スポーツへの継続的なサポートというのは難しくなってきています。新たにチームを持とうとする流れも確かにありますが,やはりチームを手放す,という形が相対的に多いような印象です。実業団チームはどうしても,企業環境の変化に大きな影響を受けてしまいます。その変化に対応しながら,100%とは違った形で会社が継続的にコミットしていける,そんな枠組みを作っていかないと,競技環境に対する悪影響が出てくるように感じます。