「回さない」速さ(ブルーパフォーマンス)。

恐らく,いままでのイメージとは正反対方向でしょうね。


 高く評価されていた直列6気筒,その美点は「回せること」にあったわけですから。スペース効率を考えれば,前時代的な印象もありますが,感覚性能という側面からエンジンを評価するならば,相変わらず高評価を受けることのできるエンジン形式だと,私も思っています。


 このイメージで「回して」しまうと,恐らく面白くない。むしろ,シフトアップを促すような走り方をすることで,結果的に速さを引き出せる。正反対の方向から“Freude am Fahren”を訴求してきたな,と思いますし,そんなエンジンを「選べる」状態にしてくれたことを,個人的にはうれしく思っています。


 いささか長めのお休みをいただいてしまいました。


 なかなかフットボール方面の情報をチェックする余裕も取れずに8月も終わり,になってしまいまして,でありますれば今回は屋号方面の話をこちらの記事をもとに,ちょっと短めに書いてみよう,と思います。



 今回は,いつものようなデザインの話,ではなくて,エンジンの話を書いていこう,と思います。今回BMWが5erに追加導入するのは,3erに先行導入された“ブルーパフォーマンス”,2リッター・ディーゼルターボであります。世界的に見ても最も厳しいとされる国内規制を,尿素水溶液(アドブルー,などと言います。)を利用せずにクリアするなど,なかなか技術的にも面白いエンジンでありますが,今回は走りにつながる要素にフォーカスしていきます。


 関さんがまとめた記事には,このエンジンの最高出力と最大トルクが記載されています。その発生回転数を見ると,最高出力については4000rpm,最大トルクですと1750〜2750rpmとなっています。


 かつてのBMW,そのイメージからすれば「面白くない」エンジンともなりかねないし,これで操る楽しさがあるのか,と疑問を持たれかねないかな,とも感じます。そんな疑問(と言うか,懸念というか)に対する回答が,多段化されたトランスミッションではないかな,と感じます。回転で速さを引き出すのではない,ならば当然,トルクを有効に使うことが求められます。トルクバンドを外さないようにして,回転を上げずに速度を引き上げていく,というアプローチです。すでに用意されている,8段のオートマチック・トランスミッションは新たなBMWの“Freude am Fahren”を表現するにあたって鍵を握る要素になるように思うのです。


 ともすれば,ディーゼルとスポーツは結び付きにくいかも知れません。実際,BMWはエントリー・グレードとも言えるポジションにブルーパフォーマンスを持ち込んでいます。が,まだ導入されていない直列6気筒ディーゼルターボに,デュアルクラッチ・トランスミッションを組み合わせたモデルが持ち込まれるならば,もっと明確にディーゼルとスポーツの親和性が感じられるように思います。ル・マンを走るスポーツ・プロトタイプのように,低い音を響かせながら,でもビックリするように速い。それでいて,長距離を使う環境だとエコでもある。そんなスポーツ・モデルも,と期待しています。