チューブに乗って。

“Mind the gap.”とか“This train terminates here. All change, please.”。


 不思議と耳に残ってしまうのではないでしょうか。


 ちょっとばかり,お休みをいただきました。


 ・・・はひかない,と言いながら,この季節に限ってはひくとされるカゼ。この風邪の治りかけでございまして,(ベースの速度にも大きな問題があるのですが)処理速度に問題を抱えておりますので,今回はフットボールを離れて軽めの話をしてみよう,と思います。


 最近はなかなか足を運べていないので,実際のところがどうなのか,確定的なことは言えないのですが,少なくとも車内アナウンスは増えてきているのではないかな,と思います。思いますが,私が実際にチューブを日常の足としていた頃は,サークル・ラインに自動アナウンスが導入されていた記憶がありますが,逆に言えばこの程度でした。日常の足としていたセントラル・ラインを含めた多くの路線は,車内アナウンスと言っても次の駅がどこ,乗り換えがどんな感じ,という話はほぼなかったのです。その数少ない例外が,「足下の隙間にご注意ください」というアナウンスと,「この電車は当駅で終点となります。みなさまお乗り換えください」というものだったのです。


 “All change, please.”というアナウンスが結構多いのが,エッジウェア・ロード駅です。路線から見ると,サークル・ラインの途中駅,のように思えるのですが,よく路線図を眺めてみると,ディストリクト・ラインの終着駅でもあります。そのために,乗り換えを求められることがあるのです。


 そのおとなりが,ウェンブリーへの玄関口ともなるベーカー・ストリート駅なのです。バックパッカー的な旅が多かったので,どうしてもお安めの宿が頭に浮かんでしまうのですが,たとえばパディントンからベイズウォーター周辺,あるいはアールズコート周辺のB&Bをベースにオリンピックを楽しもう,と思うと,基本となる路線はまず,ディストリクト・ラインと言いますかサークル・ラインです。ここからウェンブリー,あるいはオリンピック・スタジアムへ向かうための乗換駅が,ベーカー・ストリート駅という位置付けになるのです。


 北に上がればウェンブリーに向かい,テムズ方向へと下っていけば,ストラトフォードに到る。恐らく,オリンピック期間中は最も重要な路線,そのひとつだろうジュビリー・ラインです。


 フットボールは,残念ながらストラトフォードで戦う機会はありませんが,反面でイングランドを代表する競技場を転戦する形になっていて,(実際に移動を強いられるチームの立場に立つと心中複雑ですが)アウトサイドとしては,結構楽しめたのも確かです。スコットランド,そしてウェールズの国立競技場的な位置付けであるハムデン・パーク,アームズ・パーク(歴史に敬意を払って,敢えて旧称を使わせていただきます。)のピッチに立ち,ウェンブリーのピッチに立つ,その権利をつかみ取ってみせた。ちょっとした期間であるとしても,UKの空気を実際に感じた人間としては,このことだけで,いささかしびれるものがありますし,なでしこさんは一足早く,ウェンブリーでの決勝戦,その切符を奪取しています。


 ならば,期待するのは言うまでもなく,です。