峻希選手とセルヒオ選手のローンに思うこと。

普段は意識して,チーム目線だったりクラブ目線にしているところがあるのですが。


 でも実際には,プレイヤーズ・ファーストな要素も忘れたくはないな,と思っているところがあるのです。


 まだ,新潟戦の話も書いていませんし,浦和駒場での話も積み残している状態ですが,今回はセルヒオ選手についてのリリース峻希選手についてのリリースをもとに書いていこう,と思います。


 個人的な思いを書けば,セルヒオ選手も峻希選手も,「明確な個性」を持ったフットボーラーだと思いますし,その個性はミシャさんのフットボール,という枠組みの中でも活かせるはずだ,と思っています。


 けれど,実際にはスターター,あるいはリザーブに絡みきれない状態から抜け出せなかったように思います。それだけに,「戦力」として必要とするクラブがローンであるとしても獲得の意思を示した,というのは悪くない話だろう,と思うのです。


 もちろん,獲得意思がある,ということとスターターが確約される,ということとは意味がまったく違います。FCソウルが狙うフットボール,そしてジェフが狙うフットボールを的確に理解し,その戦術的な枠組みの中で自分の個性をしっかりと引き出すためのアプローチを見つけ出すことができなければ,実戦の舞台をつかむのは難しい話になってしまう,かも知れません。でも,この過程こそが,恐らく2人のフットボーラーに求められる要素なのかな,と思ったりもします。


 ミシャさんのフットボールは,どちらかと言えば戦術的な枠組み,約束事を基盤にしながら,個性をアクセントとする,そんなフットボールであるように感じます。フットボーラーそれぞれが持っている個性を尊重しながらも,戦術的な約束事をしっかりと理解し,その枠組みの中で個性を引き出すことを求める,という印象です。その基盤を理解する,という部分で迷い,かも知れないし,ともすれば足らざる要素がある,と感じられたのかも知れません。それでも,実戦環境が確保できる状態ならば,ローンという結論にまでは至らなかったかな,と感じるところもどこかにあります。


 しかし実際には,サテライト・リーグがあるわけではありませんから,“実戦〜トレーニング〜実戦”という循環が,特にリーグ戦に絡めない状態のフットボーラーでは得られにくいように思うのです。実戦を通じて課題をあぶり出し,その課題をトレーニングでクリア,新たな実戦に臨む,という形で実戦感覚を維持するのが難しい。確か,数季前のインタビューで,当時の愛媛FCを率いる監督さんがコメントしていたか,と思うのですが,「錆び付き」を生じてしまうのだとか。その錆び付きが決定的な状態になる前に,実戦感覚を取り戻す(奪い返す,と言うべきかも知れませんが。)チャンスが訪れたのであれば,そのチャンスをぜひとも活かしてほしい,と思うのです。


 クラブ目線,あるいはチーム目線だと,違った書き方もあるのかも知れません。そして,メルカートで何らかのアクションをすべきだ,と言う見方もできるかも知れません。でも,その目線をちょっとだけプレイヤーズ・ファーストな視点にして,フットボーラーとしての進化を見せてほしい,と思いますし,ぜひローン終了後は浦和に,と思わせる,そんなパフォーマンスを見せてほしい,と思っています。