2012ル・マン24時間耐久レース(LMP2版)。

個人的に,好感を持っているカテゴリです。


 ル・マン関連のエントリ最終回,LMP2の話を書いていこう,と思います。


 まずは,決勝結果から書いていきますと。


 今季のLMP2を制したのは,354ラップを走破した,スターワークス・モータースポーツのHPD ARX 03bであります。北米でのホンダのレース活動を統括する,ホンダ・パフォーマンス・ディベロップメントが開発を担当したLMP2マシンであります。


 では,2位以下との差がどの程度ついていたか,と見てみると。


 2位に入ったTDSレーシングが353ラップ,残る表彰台に入ったペコム・レーシングは352ラップを記録しています。さらに表彰台を逃し4位となったシグナテックは,351ラップであります。24時間を経過して,クラス4位までのラップ差がわずか4ラップなのです。それだけ勝負権がどのチーム,レース屋にもあるカテゴリである,ということができるように思うのです。どれだけ,プラン通りの戦い方ができるか,であったり,アンフォースト・エラーを潰すことができるか,であったり。丁寧な戦い方ができれば,可能性がある。そんなカテゴリとなっているように思うわけです。ル・マン参戦初年度にしてクラス優勝を飾ったVK,そのエンジンについて日産関係者がインタビューに答えていた記事を読んだ記憶がありますが,そのなかでVKはライバルと比較して,飛び抜けたアドバンテージを持っているわけではない,というニュアンスのコメントがあって,その言葉が印象に残っています。参戦初年度の好成績を思えば,日産関係者は控えめにコメントしたのかも知れない,と感じる部分もありましたが,この言葉が実際に証明されたのが,今季の決勝結果ではなかったかな,と思うのです。


 LMP1は,アウディトヨタのように,ファクトリーがしっかりとマシンを作り込んでいくべきカテゴリかな,と思っていますし,であればファクトリー体制での参戦を否定するものではありません。個人的には,LMP2へのエンジン供給を発表したマツダ,そして(欧州方面の期待値,という側面が強いかな,と思いますが)LMP1への本格参戦がウワサに上がる日産,彼らのファクトリー体制でのWEC,そしてル・マン参戦を期待したいところでもあります。


 しかしながら,LMP2はファクトリー,という色彩が強くない,いまの状態がいいバランスなのではないかな,と思うのです。そして,そんなカテゴリを側面から支えよう,というメーカの姿勢も評価されていい,と思っています。


 要は,プライベティアが「勝てる(勝負権を持つことのできる)」パッケージを手に入れやすいカテゴリだな,と思うのです。シャシーにしても,オレカやザイテック,あるいはローラであったりクラージュやペスカローロなど,さまざまなコンストラクターがLMP2規定に合致させたシャシーを用意しています。そして彼らのウェブ・ページを眺めれば,搭載可能エンジンが複数列挙されています。多くの選択肢が用意されているカテゴリである,と言うことができるかな,と思いますし,自分たちが選んだパッケージをしっかりと使いこなすことができれば,今季のル・マンのように接戦に持ち込むこともできる。


 ファクトリーとしてWECを戦うのも価値があることだとは思うけれど,LMP2を戦うレース屋,プライベティアなレース屋を側面から支えることにも価値がある,と思っています。メーカが前面に立って,レースを戦うのも魅力的だけれど,CPに優れた,戦えるエンジンを供給することでレースのプロモートに貢献しようとする姿勢も,また大事なものだと思うのです。