ユナイテッド、基本合意をリリース。

契約書へのサイン,ではありません。当然ながら。


 とは言いながら,よほどの問題でも発生しない限りは契約書へのサインは既定路線,でしょうし,クラブ間での合意によって契約への壁は実質的に取り払われた,と見ていいように思います。ということで,こちらの記事をもとにちょっと書いていこう,と思います。


 さて。メディアを通じて見えていた流れを思い出してみるに。


 ユナイテッドとしては,香川選手を獲得しよう,という意図はかなり早い段階から見えていたようにも感じます。香川選手が契約更新の意思を示さなかった,今季終了での移籍を明確なものとした段階で,移籍交渉へと動こうとしたクラブは複数あったようです。けれど,ユナイテッドは獲得への「意向」が明確に見えていたように思うのです。ユナイテッドの陣容を見ると,いわゆるアタッキング・ミッドフィールド,それも現代的な10番(攻撃をオーガナイズする,というよりも,フィニッシュへと積極的に関与する中盤のフットボーラー)が欠けているピースに映ります。その欠けているピースを埋めるための有力な選択肢が香川選手,という判断をユナイテッドはしていたようにも感じます。確か,オファーという話が出た段階だったか,ユナイテッドはマーチャンダイジングを意識してこのオファーを出しているわけではない,というようなリリースを出していたような記憶があります。個人的には,このリリースはマーチャンダイジング「だけ」を意識しているわけではない,と正確に書くべきだろう,と思わぬでもないのですが,反面で,戦力バランスから香川選手の獲得に動いているのだろう,と感じたのも確かなわけです。ならば,サー・アレックスが直接香川選手と会う,というのもそれほど不思議には感じませんでした。


 とは言え,金額面がネックになりそうだ,という空気だったのも確かです。


 ボルシア・ドルトムントが設定した移籍金額に対して,ユナイテッドがオファーで提示した金額はその最低限度を下回る,という形だったようです。であれば,金銭面での障壁がクリアできないと,クラブ間合意に達することができず,結果として移籍が成立しない可能性が出てくる,という状態にも見えたわけです。


 この障壁を取り払ったのが「出来高」のようです。


 この記事を読む限り,ユナイテッドがベースとして提示している移籍金額は,ドルトムントが最低限度としている(と,欧州メディアが見ている)金額から動いていないように感じられます。しかしながら,出来高によって,移籍金額が22億円になる,との見方もされているようです。今季,ヴェストファーレンで見せたパフォーマンス,そのパフォーマンスをオールド・トラフォードでも表現できれば,恐らくベースといわれる17億円ではなくて,最高限度とされる22億円,この水準に限りなく近い移籍金額をドルトムントは手にすることができる。このオプションの存在が,クラブ間合意を導く鍵になったのかな,と思うわけですね。


 いずれにしても,正式に契約書にサイン,というのは最終予選の第3節が終わってから,ということになるはずです。オーウェンの退団によって,ユナイテッドを代表する番号が空いているけれど,香川選手のスタイルはこれまで「あの番号」を背負ってきたフットボーラーと違うところがあるな,とか,ならば香川選手の色を「あの番号」に刻み込んで欲しいだとか,個人的な思い(と言いますか,イングランドびいきとしての思いと言いますか)はいろいろとあるわけですが,そのようなことについては正式に契約書へのサインがありました,という話を受けて,にしようと思います。