対オマーン戦(アジア最終予選)。

得失点差の話も大事なのは,当然ですけれど。


 得失点差の話よりもまず重要なのは,「勝ち点3」を積み上げることであります。最終予選は,長期にわたるホーム・アンド・アウェイなリーグ戦ですけど,初戦からの3試合は「短期決戦」という表現を使いたくなるほどに日程が詰まっています。初戦でリズムを失うようなことがあれば,長期にわたるリーグ戦に大きな影響(もちろん,ネガティブな意味での)を与えかねないわけです。


 であれば,できるだけ早い段階での先制点奪取,そこから試合のリズムを掌握することが重要,それもいつも以上に大きな意味を持つな,と見ていたわけです。


 相変わらず遅筆堂,のオマーン戦であります。今回は「流れ」という言葉を意識しながら進めてみよう,と思います。


 正直なところを書けば,もっと厳しい試合になるかな,と思っていました。


 勝ち点3を奪取できるとして,ともすれば最小得点差になるのではないかな,と。つまり,守備的に構える相手をどう引き出し,守備バランスのギャップを突きに行くか,という形になるのかな,と思っていたわけです。けれど実際には,相手はそれほど守備応対に強く意識を振り向けているようには感じられませんでした。立ち上がりの時間帯から自分たちのリズムへと試合を引き寄せやすい,そんな相手だったわけです。であれば,早い時間帯での先制点奪取はある意味,理想的な展開でした。


 けれど,先制点を奪ってからの時間帯,ちょっとばかり単調さ,と言いますか停滞感を感じたのも確かです。振り返ってみれば,ではありますが,前半終了段階で,この試合を決定付けることもできたように思うのですが,実際には最小得点差で試合を折り返すことになります。リズムを掌握しているようには見えるけれど,最終的な部分がなかなか詰め切れないような印象を持ったわけです。どこか,初戦の持っている雰囲気が作用し始めたようにも感じるのです。


 それだけに,アルベルトさんはハーフタイムに「いい仕事」をしたのかな,と思います。


 自分たちのフットボールをしっかりと表現すれば,しっかりと守備ブロックを揺さぶり,決定的な局面を作り出せる(のみならず,得点を奪うことが実際にできている)のだから,調整すべき要素,あるいは修正すべき要素をシンプルに整理してみせたのではないかな,と思うのです。そして,後半立ち上がりの時間帯に,追加点を奪い,さらに54分にはほぼ試合を決定付けることになる追加点を奪うことになります。


 リーグ戦を戦っているのだから,得失点差も当然に重要な要素ですし,そのことを思えば,もっと得点を積み上げることができた試合である,という見方もできる,かも知れません。けれど,初戦の持っている独特の雰囲気が,先制点を奪ったあとのチームに何らかの影響を与えた(相手の実力がどう,という話ではなくて,心理的な部分で影響を与えた)のかな,とも感じます。そんな心理面を,しっかりとコントロールして流れをさらに強く引き寄せてきた,という部分が,この試合での最も大きな要素なのかな,と思うのです。