対アゼルバイジャン戦(KCC2012)。

フリー・プラクティス,という感じでしょうか。


 ひさびさに,屋号的な表現であります。決勝を控えた午前中,マシン・コンディションだったりドライヴァ自身のコンディション,そして路面状態などさまざまな要素を確認するための時間,であります。


 もちろん,テスト・セッションであるという見方もできるかな,とは思います。相手が繰り出してくる攻撃,この攻撃に対する守備応対を考えると,最終予選を意識してのテストという側面もあるかな,と感じるところもあったわけです。しかしながら,守備応対面のみならず,攻撃面を含めてこの試合を考えてみると,最終予選を意識してのテスト・セッションという位置付けはちょっとばかり違うようにも思うのです。


 ということで,相変わらず遅筆堂のアゼルバイジャン戦であります。


 今回は,短めの方向で書いていこう,と思いますが,攻撃面でのギアがこの試合ではやはり足りない,という印象が残りました。端的に書いてしまえば,遠藤選手であります。このことを違う側面から見れば,まだ遠藤選手のバックアップであったり,将来的に遠藤選手の役割を担いうる,と言いますか,遠藤選手の果たしてきた役割と新たな役割を担えるフットボーラーが“ミッシング・ピース”になってしまっている,という印象を持ちます。


 この試合では,「鋭く縦に」という意識はかなり強く受け取れたのですが,引いて構える相手をリズム変化で揺さぶりながら崩しに行く,という形はなかなか表現されていませんでした。当然,相手が引いて構えて,を徹底しているようには感じられなかった(最終予選で見られるような,徹底した姿勢が見られるわけもない,とは思いますが。)こともあり,この部分でのテスト,特に遠藤選手が欠けた状態でのテストとしては不十分だったようにも思うのですが,それにしても,攻撃をスムーズに繋ぎ合わせるためのちょっとした時間がなかなか稼げていない,という印象が残りました。


 JFAのリリースを見ると,遠藤選手や今野選手の名前が(当然と言えば,当然かな,とも思いますが)クレジットされています。このパッケージを比較対象として眺めてみると,このアゼルバイジャン戦はあくまでも,テストと言うよりはコンディション・チェックの意味合いがより大きかったかな,と感じるところです。リーグ最終節を終えている欧州組に,再び意識を実戦へと切り替えてもらう,そのための「実戦練習」,そんな側面がより強かったのではないかな,と。


 あくまでも重要なの6月3日からの3連戦(アウェイ・マッチを含む)であって,そのための準備としてこの国際親善試合を位置付ける。パッケージにしても,チャレンジの色彩がまだ強い3ではなくて,実戦に即した形で(であって,やり慣れている形でも)ある4を持ち込む。新戦力の融合,もどこかに意識はしているけれど,基本的には基盤を大きく崩さずに組み立てていく。やはり,実戦直前のフリー・プラクティスだったのだな,と感じるのであります。