対川崎戦(12−GL#4)。

カップ戦とリーグ戦は別物である,というのも確かなのですが。


 ここ数節,「勝ち点3」から遠ざかっていたチームが勝ち点3を奪取した,しかもリーグ戦を戦うメンバーとは(「ベスメン規定」の制約がありますから,部分的に,ですけれど)違うメンバーで組まれたチームが勝ち点3を奪った,というのは小さくない意味があるかな,と思います。いつも通りに,のアウェイ・マッチな川崎戦であります。


 ごく大ざっぱな言い方をすれば,成熟度がピッチに相当程度反映されたかな,と感じます。


 今回は,まず反対側の視点で試合を見てみると。


 浦和が狙うフットボールをどのようにして抑え込み,自分たちの形に引き込むか,微調整から立ち上がって,自分たちのフットボールへと浦和を引っ張り込むような段階にはまだなくて,どう自分たちの形を表現できる時間帯を増やしていくか,という段階に感じられます。まずは,自分たちのフットボールを表現するために必要となるインテリジェンス,その整理とスキルとのすり合わせに大きく意識を傾けざるを得なくて,ほかの要素を落とし込む,その余地が狭まってしまっているのではないかな,と。であるとすれば,守備応対から攻撃へ,というシークエンスのなかで実質的なパッケージを変化させ,機動性に支えられた数的優位を強みとする浦和のフットボール,この戦術的な特徴をどう抑え込むのか,という上積みができる段階にない,ということかな,と見ています。実際,指揮官交代後の初戦となった広島戦はひとつのテスト・ケースかな,と思うのですが,このときも川崎の中盤〜最終ラインはなかなか広島のリズムを寸断することができず,カウンター・アタックから失点を喫していました。基本的には,このときの形に再び嵌り込んだのかな,と感じます。


 で,浦和目線に戻しますと。


 冒頭でも触れたように,「勝ち点3」を奪取したことが大きい,と思います。


 今季のグループリーグはホーム・アンド・アウェイな形ではなく,1回戦総当たりのリーグ戦となっています。グループ首位,そしてスタンディングで浦和の上に位置するクラブから勝ち点を奪えなかったことが影響して,まだまだセカンド・ラウンド進出には予断を許す状態ではありませんし,「他力」の要素が当然に関わってきます。けれど,自分たちが「勝ち点3」を積み上げられなければ,他力を使おうにも使えないポジションから浮上できなくなってしまう。また,リーグ戦を振り返ってみると,チームがちょっと「踊り場」に入ったような印象もあります。この踊り場を抜けて,再びチームが好循環の流れに乗るためにも,今節は結果が大きな意味を持っていた,と感じるわけです。もちろん,先制点を奪ったあとのスローダウン,という課題はまだ明確にクリアできているとは感じられませんし,修正すべき要素は確かに残っています。けれど,リーグ戦にあってはリザーブ,あるいは帯同メンバーから外れているフットボーラーがピッチに立ち,今季のフットボールをしっかりと表現しながら結果を出した,というのは,シーズン中盤から終盤に意味を持ってくるものと感じます。


 小さなユニットだけで,長期にわたるリーグ戦は戦い抜けるものではありません。どれだけ大きなユニットに,狙うフットボールが浸透しているか,が大きな要素になってくるはずです。トレーニング・マッチとは違う,高い実戦負荷を通じて戦術的な理解を深め,チームとしてのパフォーマンスを引き上げる。そのためにも,カップ戦は大きな意味を持つし,より多くの実戦機会をつくるためにも「上に上がる」ことが必要にもなる。そんな視点で見直してみると,セカンド・ラウンドへの可能性を残し,他力を使えるポジションへと戻ってきつつあることも含めて,意味ある「勝ち点3」を奪ったように感じるところです。