枝葉と幹と。

強いて言うなら,枝葉の話です。


 リスタートからの守備応対は課題ではあるけれど,枝葉な話,ディテールな話です。現任指揮官が狙うフットボール,その根幹に関わる要素ではありません。けれど,ディテールだから軽視していいなんてことはあり得ません。枝葉が幹に悪影響,決定的な悪影響を及ぼしていく可能性があるからこそ,軽視できないし,重要な要素になるのだ,と思っています。


 戦術的な約束事を揺るがせないためにも,勝負にこだわるためのディテールが大きな意味を持つのだ,と。


 結果を呼び込むためには,そして結果を手放さないためには,ディテールに徹底的にこだわっていかなくてはいけない。特に,厳しい試合ではセットピースでの精度,逆にセットピースでの守備応対が大きく勝負を分けることになります。「勝ち点」を積み上げていく,という部分から考えれば,枝葉にこそ徹底的にこだわるべきである。その通り,です。


 でも,ディテールだけが勝負を決定付ける要素なのか,となるとそれは違う話,でしょう。そもそも,ディテールが大事なのは,「自分たちのフットボール」になかなか相手を引き込めない,膠着した状態を打開するために大きな要素となるから,です。本来表現すべきパフォーマンス,自分たちのフットボールという前提があって,その前提が表現できないときにあっても勝ち点を積み上げ続けていくために,大きな意味を持つから,です。さらに書けば,自分たちのフットボールへの確信であったり信頼を,結果が出せないという事実によって揺るがせないために,自分たちから確信,自信を失わせていく心理的な悪循環へと嵌り込まないために結果を積み上げていく,そのための大きな鍵となりうるからこそ,ディテールが重要な意味を持っていくはずです。


 枝葉も大事なのだけれど,それだけでは足りない。幹だけを重要視しているだけでも足りない。


 枝葉と幹の関係性,バランスをどこかに意識しておかないと,自分たちのフットボールが機能した時間帯があっても,その機能した側面を見ることなく,「勝ち点3」を引き出せなかった,という部分に(必要以上に)フォーカスしてしまうことにもなりかねない。そして,「勝ち点1」を分け合うドローという結果にもかかわらず,敗戦原稿と見紛うようなコラムを見ることにもなる。かつて,イビツァさんが言ったこと,その意味するところはこういう部分にも確かにある,と思うところがあるのです。