2度目のカップ・ファイナルへ(NHL 2012Playoffs・#2)。

強豪と呼ばれるチームがある、その反面で。


 決してうれしくはない形容詞が付きまとうチーム,というのも存在します。アメリカン・スポーツですと,レギュラー・シーズンの成績がそのまま“Champions”という称号に結び付くわけではありません。好意的な言い方をすれば,勝負権を持てるチームが増える,とも理解できます。でありながら,なかなかカップを争う位置にまでたどり着くことができなかったチーム,というのも確かにあるわけです。


 “Club Honours”の項目に書かれるのは,“Non Applicable”,あるいは“Runner-up of the Stanley Cup Finals”。それも,1回だけ。そんなチームが,2度目のクレジットを目指して戦っているのが,今季のポスト・シーズンであります。今回はフットボールを離れまして,ポスト・シーズン真っ最中のNHLであります。


 さて。いまはカンファレンス・セミファイナルであります。まだ,ポスト・シーズンも第2ラウンド,なのでありますが,この第2ラウンドがなかなかに興味深いな,と思っているのです。ウェスタン・カンファレンスですと,カンファレンス・ファイナルへの指定席切符をニューヨーク・レンジャースと争っているワシントン・キャピタルズイースタン・カンファレンスですと,セントルイス・ブルースと戦っているロサンジェルス・キングスが,決してうれしくない形容詞が付きまとっているチーム,というわけなのです。


 まずは,ロサンジェルス・キングスですが,鋭い立ち上がりを見せてくれています。ブルースに対して,2ゲームを先取する形です。ブルースとしても,リズムを失ったままで終わることはないでしょうし,セミファイナルでのリズムを取り戻そうとするのは当然でしょう。逆に,キングスにしても3勝目,そしてその先となると心理面でのプレッシャーも作用していくのかな,と感じます。自分たちから崩れていくのでもなく、相手に心理面での隙を突かれるのでもなく。どれだけここからのゲームを冷静に戦えるのか,がキングスには問われるのかな,と見ています。


 続いて,ワシントン・キャピタルズであります。


 こちらは,ちょっとばかり厳しい戦いになるのかな,と感じます。対戦相手であるレンジャースは,スタンレーカップ・ファイナルズへ進出した回数で言えば9回,ですが,最後にファイナルズの舞台に立ってから,相当なシーズンが経過してしまっています。強豪,というよりは古豪,という言葉が相応しい,そんなチームです。であれば,彼らにしても再び強豪への階段を,という意識でポスト・シーズンを戦っているはず。アウトサイドからすれば,すごく興味深いカード,となるわけですが,それぞれのチームを追い掛けているひとたちからすれば,(ここでイングランドな話を持ち込むのもどうか,とは思うのですが)たとえば,トップフライトを賭けたプレーオフを戦っているような,そんな緊張感があるのではないかな,と思ったりします。


 短期決戦とは言いながら,まだまだポスト・シーズンは第2ラウンドの最中です。決して,勝負権を引き寄せきっていると言える状態ではありません。けれど,ともすれば新たな歴史を書き込むことになるかも知れない,そんなチームを見ることになるのかも,という楽しみ方もあるように思うのです。