対名古屋戦(12−08A)。

ショートハンドに陥った相手に,主導権を握られる。


 やらなくてはならないことが必然的に絞り込まれるわけですから,決してあり得ない話ではありません。けれど,ゲーム・マネージメントという側面から見れば,課題として意識すべき要素かな,と思います。


 とは書きましたが,同じパッケージを持ち込んできた相手から「勝ち点3」を奪取できたことは,大きな意味を持つように思います。いつも,よりも長めのインターバルで書きはじめておりますが,のアウェイ・マッチな名古屋戦であります。今回は,ちょっと短めに。


 まずは,数字の話から入ります。


 今節,相手は4ではなく3を瑞穂へと持ち込んできました。パッケージという部分で,浦和が持っている優位性を抑え込もう,という意図があったように思うわけです。今季の浦和は,4に対して数的なアンバランスをつくることを狙って,3を基盤とするパッケージを採用しています。浦和から見れば,アンバランスさをどれだけ的確に使えるか,相手からすれば,いかにアンバランスな状態を回避するか,が意味を持つわけです。そして,アンバランスを回避する手段として,相手は3を持ち込んできた。広島に対するアプローチを,浦和にも当てはめてきたわけです。


 試合を膠着した状態に持ち込み,自分たちの強みであるセットピースや,あるいは高さで勝負を決めに行く。相手はこのようなゲーム・プランを描いていたのかな,と思います。思いますが,結果としてこのようなゲーム・プランに持ち込むことができたのは,あくまでも時間帯限定であったように感じられます。3という基盤を使って,どのようにボールを動かし,ボールをゴールへと持って行くか,という戦術的なイメージで,浦和は相手よりも具体的なイメージを描けていたように感じますし,実際にピッチへとそのイメージを表現することができたように思うのです。


 ただ,相手がショートハンドに陥ってからの時間帯は,課題として考えておくべきでしょう。高さ,という部分で浦和はディスアドバンテージを背負っています。対して,相手は戦い方に迷いがない。と言いますか,数的不利に陥っているのですから,使える武器を徹底的に絞り込んで,浦和に対して圧力を高めていくほかにない。相手が持っているタレントを思えば,高さを当然に押し出してくるはずです。この相手の戦い方に対して,結果として合わせたような戦い方になってしまった。ゲーム・マネージメントという部分で,課題が見えた試合でもあるように思います。


 と,課題な要素も感じられはしましたが。


 3を基盤とする今季型のフットボール,その表現度が高くなってきているかな,という感触を持つ,そんな試合であったことも確かです。「組織」として描くべきイメージが安定してきている。まだまだ熟成段階にあるフットボールですし,シーズンを戦っていく中で,さらなる課題が出てくることも当然にあるか,と思いますが,いまの流れを見る限り,トレーニングから実戦,実戦で見えた課題を次のトレーニングで潰して新たな実戦に,という循環は悪くないように感じられます。ちょっとばかり日程が詰まっていますが,この循環を維持してほしい,と思います。