ギアを変えるには。

45:00からの話も,当然に重要です。


 相手は守備ブロックを低め,かつ中央に強く意識を傾ける形で構えていました。この守備ブロックを,真っ向勝負で割ろうとしてしまったように見えます。中央に意識を傾けている相手を,どう引っ張り出すべきか。ミドルレンジ,という意識も当然に大事だし,アウトサイドが必要以上に中央へと絞り込まないこと,も必要になってくるでしょう。


 しかしながら,より重要なのはゲーム・クロックが00:00から動き出す,立ち上がりの時間帯でありましょう。エル・ゴラッソ紙の川端さんが言うところの「良い薬」は,この立ち上がりの時間帯をどう戦うか,にかかっているように思います。ということで,今回はエル・ゴラッソ紙のコラムをもとにしつつ書いていこう,と思います。


 さて。相手は第7節にして,すごく現実主義的なフットボールへと軸足を動かしてきました。誤解を恐れずに書くならば,対浦和,のスカウティングを落とし込んだのは,彼らが今季型のフットボールとして狙うもの,ではなく,「カップ戦仕様(残留仕様,という表現もできますけども。)」なフットボールだったように思います。自分たちが狙うフットボールをどう表現するか,ではなくて,相手が狙うフットボールをいかにして抑え込むか,から計算されたフットボール,です。


 そんなフットボールに対して,後手を踏んでしまうとゲーム・マネージメントは必要以上に難しくなるはずです。後手を精算するためにも相当なチカラを必要とするし,後手を早い段階で精算しよう,という焦りを生じてしまえば,相手の術中により深く嵌り込んでいくことにもなりかねません。


 今季からの浦和番である菊池さんは,コラムのなかでチーム全体での連動性,という言葉を使っています。


 確かに,今季型のフットボールをさらに進化させるための課題ではないかな,と感じます。今季は,セントラル・ミッドフィールドやディフェンス・ラインに入っているフットボーラーが攻撃参加している局面が見えています。いますが,ゆっくりとしたビルドアップからギアチェンジして相手に対して仕掛けていく,というタイミングで,ポジション・ブレイクして攻め上がっていく,という形はなかなか描き出せていないようにも感じられます。攻撃ユニット,7節のスターターで言うならば,トップのポポ選手にアタッキング・ミッドフィールドのマルシオ選手,そして柏木選手をサポートすると同時に,攻撃ユニット「ではない」フットボーラーが,攻撃面でのギアチェンジを担うシークエンスを,どう約束事として描いていくか,が課題(であって,さらなる進化のための鍵)になるのかな,と思うわけです。


 以前も書いたことではありますが,攻撃面でのギアチェンジは,特定の誰か「だけ」がすることではなくて,誰もがギアを変える意識を持っている,という状態に持っていくことが求められる,と思っています。ポゼッションから相手守備ブロックが守備バランスを崩すタイミングをうかがい,実際に相手がバランスを崩したタイミングでギアを変えて攻撃を仕掛けていく。今季は,最終ラインであっても攻め上がっていくことが求められていますし,戦術的な規制がかかっているわけではありません。ならば,このシークエンスを,攻撃ユニットを効果的にサポートしながら,ギアチェンジにつなげていっていい。


 立ち止まらないこと,再びチームにポジティブな循環を持ち込むためにも,狙うフットボールを進化させ,「勝ち点3」の足掛かりを築いていってほしい。そして,中野田での再戦時には,リアルを真正面から打ち破れるだけの強さを,と思うのです。