対大宮戦(12−07A)。

スタンディングに関係なく,勝敗が意味を持つ試合。


 との前提に立つならば,この試合に対する評価は書くまでもないわけですけど。


 そこで止まっていても,いいことなど何もありません。綿密なスカウティングを施し,自分たちの戦い方へとスカウティングから導かれた要素を落とし込んできた相手,そんな相手に対してスカウティングを超えるような戦い方ができるかどうか(ベースを揺るがせることなく,戦術的な微調整が掛けられるかどうか),という実戦的な課題が提示された,と見るならば,この試合は失った「勝ち点3」,あるいはそれ以上に大きな意味を持つように思います。


 歯噛みしながらも冷静に,のアウェイ・マッチな大宮戦であります。


 どのような形で先制点を奪取され,どのような形で追加点を奪われたのか,この部分に「現状での」戦術的な問題点があるな,と思います。


 相手はスカウティングを通じて,あのエリアを狙い,実際に得点奪取へと結び付けた。リズムを浦和に握られる前に,先制点を奪うことによってリズムも奪う。そういう意識を,形にされたわけです。引っ張り出される形が実際に生じているわけですから,これからの対戦相手に対して,小さくないヒントをプレゼントしてしまったようなものです。


 ならば,単純に最終ラインだけの問題にしてはいけない,と思います。


 どうして,引っ張り出されなくてはならなかった(ゾーンをブレイクせざるを得なかった)か,がより重要だし,最終ラインが必要以上に引っ張り出されることなく守備応対をするために,チームとしてどういう修正を施すべきか,がより重要であるように思います。最終ラインよりも高いエリアで,どのような微調整を仕掛けるべきか,が戦い方の幅を広げるにあたって大きな意味を持つように思うのです。中盤,あるいはアウトサイドで相手がなかなかつかまえにくい,とするならば,守備応対がなかなか機能しにくいはずですし,ボールを自分たちの形で奪えない,ということも意味しますから,結果として攻撃面でもらしさを出し切れないことになるはずです。そのときに,どのような距離感の調整をしていくか,が実戦から提示された課題,浦和的なミシャ・フットボールをさらに進化させていくための鍵であるように思うのです。


 相手の攻撃,その鍵を握るフットボーラーとの距離感がファースト・ディフェンスを仕掛けにくい距離感であるときに,どのようにしてその距離感を縮めていくか。恐らく,回答はひとつではないでしょう。チーム全体のコンパクトネスを,どの位置を重心にして考えるかに始まり,アウトサイドやセントラル,そしてアタッキングを含めた中盤との関連性でちょっとずつポジショニング・バランスを変えていく,そのための戦術的な積み上げを求められる時期であるように思うのです。


 今節,攻撃面では単調さがかなり気になりました。けれど,その単調さは心理面がかなり影響しているはずです。縦への意識は大事だけれど,この意識だけが強くなってしまうのは,決していい形ではない。そもそも,縦に強く意識が傾いてしまうような状態に陥らないために,どんな微調整が必要になるのか。ある意味,ここからが12シーズンの本格的なスタート,かも知れません。