欧州カップ戦化する大学選手権。

1回戦総当たりのリーグ戦と,カップ戦だけの実戦環境でいいのか。


 やはり,JRFU方面も危機感を持っていたのだな,と思います。


 なるほど,この手があったか,と思いましたが,今回はJRFUのリリースをもとに,トーナメント形式が大きく変更されることになる,大学選手権について書いていこう,と思います。


 2015,であったり2019をイメージしてみます。


 2015のフィールド,そして2019のフィールドに立っている選手たちは,いまどの段階にいるでしょうか。トップリーグ,という可能性もゼロではない,と思いますが,主軸となるのは現段階において大学チームに在籍していたり,高校チーム(もちろん,中学よりも下のカテゴリだって,ゼロではないでしょうけれど。)に在籍しているだろう,と思います。つまり,2015であったり2019から逆算した強化を考えるのであれば,大学や高校の実戦環境を整備することは必要不可欠,と見ることもできるはずです。そして今回,関東対抗戦と関東リーグ戦の交流戦導入に続いて,大学選手権のトーナメント形式変更がリリースされた,というわけです。


 このリリースをごく大ざっぱに要約するならば,大学選手権のトーナメント形式を欧州カップ戦化(要は,UEFAチャンピオンズ・リーグ化)する,ということであります。


 JRFUさんのリリースを読むと,新たな大学選手権にはまず,ファースト・ステージが用意される,とのことです。この段階が,欧州カップ戦ですと本戦出場権をかけた予選,ということになります。この予選に参加するのが,九州リーグ戦1部優勝チーム,東海・北陸地区代表×中国・四国地区代表の勝利チームに東北地区代表×北海道地区代表の勝利チームの3チーム,であります。この3チームでラウンドロビンを戦い,首位通過したチームがセカンド・ステージへの切符を獲得する,というわけです。


 で,セカンド・ステージが,欧州カップ戦のグループリーグ(ファースト・ラウンドなどという表現を使うケースもありますが。)に相当します。関東対抗戦Aの1位〜5位チーム,関東リーグ戦1部の1〜5位チームに関西リーグ戦1部の1〜5位チーム,そしてファースト・ステージを勝ち上がったチームの合計16チームをプールAからプールDの4グループに分け,リーグ戦を戦うわけです。ここで欧州カップ戦と異なるのが,2回戦総当たり(ホーム・アンド・アウェイ)ではなく1回戦総当たりのラウンドロビンであること,そしてアドバンテージ・ポイントというアイディアの導入であります。つまり,それぞれのチームが所属しているリーグ戦での戦績を勝ち点に反映させるわけです。首位で大学選手権の出場権を獲得したチームには4点,逆に4位で選手権へと駒を進めてきたチームには1点のみ,というように。


 そして,各プール首位がファイナル・ステージ,つまりは決勝トーナメントを戦う,というわけです。


 なるほど,欧州カップ戦方式という手があったか,と思いました。


 個人的には,(いささか理想論なのは承知していますが)長期にわたるリーグ戦,実戦を戦う中で課題を見出し,その課題をトレーニングで潰して次の実戦に生かしていく,という循環を機能させるためには,そしてゲーム・マネージメントを皮膚感覚で理解するためには長期にわたるリーグ戦が必要不可欠ではないか,と今も考えています。いますが,実際に長期にわたるリーグ戦を,となれば多様な課題をクリアしていかなくてはならない,というのも確かだろう,と感じています。


 実戦環境を充実させる。


 言葉にしてしまえば簡単ですが,実際には会場の確保などの技術的,そして当然財政的な課題はなかなかに多いものと想像します。大学選手権のトーナメント形式を変更する,というだけでも,です。けれど,先に書いたように2015,そして2019に直結する年代でもあるはずですし,この年代の実戦環境は大きな意味を持つ,というのも確かだと思います。その意味で,少なくともこれまでのトーナメント・スタイルでは十分な実戦環境ではないと感じてくれたこと,そして実際に変更に動いてくれたことは決して小さくないように思うのです。今回のリリースは強化体制の充実に向けて,決して小さくはないステップだな,と感じています。