激しく、鋭く(第49回日本選手権・決勝戦)。

「好敵手」の存在が,プレー・スタイルに透けて見える。


 そんなことを感じさせる,国立霞ヶ丘での決勝戦でありました。


 サンゴリアスの個性は攻撃面にある。その通りだ,と思います。鋭く,斜めに相手守備ブロックを断ち割っていく攻撃面のシークエンスであります。しかしながら,攻撃面「だけ」が彼らの強さを支える要素ではない,ということを決勝戦では存分に表現していたように思うのです。


 ブレイクダウンで激しく,そして鋭く守備応対を仕掛けていたのは,ワイルドナイツではなく,むしろサンゴリアスでした。スコアが動かなかった時間帯は,確かにワイルドナイツらしい,前へと仕掛けていく守備応対が表現できていたように感じます。けれど,スコアが動き出すと,サンゴリアスが守備応対でリズムを引き戻していったように感じます。接点でのボール争奪でリズムを奪い,ワイルドナイツが攻撃を仕掛けよう,というきっかけそのものを奪う。奪うのみならず,自分たちの攻撃,そのきっかけをつかむ。


 日本選手権では,サンゴリアスが「対戦相手」から吸収した要素が存分に表現されていたのではないか,と感じます。ボール・キャリアに対して激しくファースト・タックルを仕掛けていく,という要素にはどこか,ブレイブルーパスと共通する要素を感じ,ブレイクダウンでリズムをつくるという部分にはワイルドナイツとの共通項を感じてもいます。攻撃面,だけがどうしてもクローズアップされる傾向にあるサンゴリアスですが,ボール・コントロールを奪わなければ、あるいはボール・コントロールを維持できなければ,決していい攻撃を仕掛けることができないのも確かです。


 シークエンスを支える大きな鍵,守備応対という要素が加わったことで,サンゴリアスは脆さを時に感じさせる強さ,ではなく,隙を感じることのない強さへと,決して小さくはないはずのステップを上がってみせたのだな,と実感させられる,そんなゲームだったように思うのです。