対バーレーン戦(U−23・ロンドン五輪最終予選)。

最も重要なのは,切符を確保すること。


 そのためには,結果を出すこと。


 この前提をもとに試合を振り返るならば,しっかりと最重要課題をクリアしています。2−0というファイナル・スコアでロンドンへの指定席切符を確保したのですから。


 ではあるのですが,やはりどこかに「単調さ」を感じます。相手をスローに揺さぶってからギアチェンジ,ハイビートな仕掛けへと移行していく,というシークエンスがなかなか見られなかったように思うわけです。縦に鋭く仕掛けられるフットボーラーがいるのは確かだけど,その強みをもっと明確に表現するのなら,リズムに大きく「落差」を付けてもいいのに,と思うのです。


 まいどの通りに,でもありますから,ちょっと短めに思うところなどを,のバーレーン戦であります。


 個人的に,このチームでちょっとばかり気になっているのが,冒頭でも書いている,リズムの単調さです。


 アソシエーション・フットボールに24秒ルールは導入されていないのに,ボール・コントロールを奪ってからの攻撃を考えてみると,かなりハイビートな攻撃を仕掛けている局面が強く印象に残ります。戦術的な約束事として,カウンター・フットボールを中心に置いているようには思えないのですが,攻撃面での特徴を考えてみると,カウンター・フットボールにしてもかなり,縦への速さを意識しているように受け取れるのです。もちろん,相手が前掛かりになっているタイミングで,あえてスローなリズムをつくる必要性などありませんが,自分たちが主導権を握っている時間帯,自分たちで攻撃を循環できる時間帯に,リズムの変化がそれほど大きく付けられていないのは,ちょっともったいないように思うのです。


 縦に鋭く攻撃を仕掛けられるフットボーラーがいるのだから,彼らの特性を生かしたフットボールを狙うのは不思議でもなんでもない,とも言えるのは確かですが,彼らの持っている鋭さ,速さをより強調するような「落差」(タメ,という言葉でも表現できる,と思いますが。)がチームで表現できるといい,と思うわけです。


 戦術的なバリエーションとして,相手をボール・ホルダー方向に引っ張り出す,という時間帯があってもいい,と思うのです。


 そのためには,やはり「精度」が必要になってきます。その意味からすると,相手にボールを引っ掛けるようなパスではいけないかな,と。イビツァさんの通訳を務められた千田さんも,ご自身のブログ・エントリでパスを相手に引っ掛ける,という部分を指摘されていますが,そういうディテールが,リズムを自分たちで積極的に変化させようとするときには大きな要素になってくるように思うのです。


 切符をめぐる勝負は,昨日の国立霞ヶ丘で終わりです。


 今度は,ロンドンで真っ向勝負を挑むための準備です。対アジア,の準備と比較して,ワンステップ,あるいは数段上がる準備が必要かな,と思います。フットボール・ネイションズに,引いて構えられてしまえば,当然スペースは小さくなるのですから,どうやってスペースをつくるのか,が求められることになります。そのときに,何が必要になるのか。そんな側面からも,リズムをもっと積極的に動かしていく姿勢が見たい,と思いますし,その基盤として,対欧州,あるいは対南米を視野に入れた「精度」を追い求めてほしいと思います。