ワイド&ローなソフテイル。

スロットルの反応が鈍いのは。


 そんなことを考えていたわけですから,もともとは守備範囲外だったわけです。


 と言っても,「食わず嫌い」であったことは確かです。イメージで,ちょっと苦手だな,と思っていたわけですね。要は,「飛ばしてナンボ」のバイクに興味が大きく傾いていたのです。しかし。オープンロードで“オン・ザ・カム”な走りができるのか,となると,実際にはほぼ不可能,です。持てるポテンシャルを存分に引き出すためにレース・トラックに持ち込む,という方法論も確かにありますが,(おサイフの決定的な軽さが影を落とすわけですけれど)使う場面ごとにバイクを引っ張り出す,などという生活はイメージできるものではありません。


 日常にしっかりと軸足を置いて,バイクと付き合いたい,と考えはじめると,もともと守備範囲外だと思っていたものが,急に魅力的に見えてくる。たとえばドゥカティにしても,水冷エンジンを搭載する最新鋭モデルではなくて,ベベルギアでデスモドローミックを駆動している時代のバイクであったり,同じツイン・エンジンであればボクサー・エンジンのBMWであったり。あるいはUK方面に視野を広げれば,トライアンフ・ボンネビルであるとか。当然,国産ならばヤマハの「かの名品(要は,SRであります。)」であったり。そんな流れで見ていくと,食わず嫌いはいつの間にか解消されるわけです。


 と,長くなりましたが,今回はフットボールを離れまして,こちらのページ(ハーレー・オフィシャル)をもとにしながら,ハーレーの話を書いていこう,と思います。



 2012年モデルからソフテイル・ファミリーに追加された,“ソフテイルスリム(FLS)”であります。同じソフテイル・ファミリーで展開されているファットボーイ(FLSTFB)とも共通するデザインかな,と思いますが,FLSはさらにシンプルさを表現しているように感じます。ファットボーイは,クロームの印象が結構強く入ってくる構成になっていますが,FLSはクロームの部分をかなり抑え込んでいるように感じます。そのために,車体の重心が実際の重心位置よりも低く感じられるようにも思いますし,どっしりとした感じを受けたりもします。40年代のハーレー,そのテイストを継承しているモデル,とハーレーも説明してくれていますが,このFLSは雑誌などで見る,軍用ハーレーなどのイメージとどこか重なる感じがします。


 以前,FLHを徹底的にストリップ・ダウンしたハーレーなども魅力的,ということを書いたりもしているのですが,要はハーレーがそんなモディファイをした車種を用意してくれた,という印象なのです。バイクとしては,例外的と思えるほどの大排気量であったり,かなりの車体重量であったりと,踏み込むにはちょっとした躊躇を感じる部分がありますが,そんな躊躇を吹き飛ばすような,ルックスの魅力があるな,と。


 おサイフの軽いオッチャンをぐらつかせる,魅力的なハーレーであります。