対シリア戦(U−23・ロンドン五輪最終予選)。

ピッチ・コンディションが悪かった,という部分があるとしても。


 それにしても,「相手のリズム」に合わせすぎたな,と感じます。自分たちのリズムでゲームを動かせる,そんな時間帯に持ち込めても,その時間帯を自分たちから短くするような,厳しいチャレンジを仕掛けていく局面が積み上がっていたかな,と感じます。


 「天王山」というお話のあった,シリア戦であります。であれば,「勝ち点1」を確保する,というアプローチもあったかな,とは思いますが,実際にはその勝ち点1をも失う形に陥った。失点の局面から見るならば,“NOT OUR DAY”という言い方もできなくはないのかも,ですが,このチームの問題点が対戦相手によって明確になった,そんな試合ではなかったか,と思います。


 ごく大ざっぱな言い方をすれば,リズムを落ち着かせることができずに終わった,という印象が強く残るゲームです。


 立ち上がりの時間帯から,シリアが狙うフットボールに合わせてしまった。シリア戦に限定することなく,の印象でもあるのですが,このチームはどうも,「縦に急ぎ過ぎる」傾向があって,このゲームでもその印象が変わることはありませんでした。そして,対戦相手との関係性で考えるならば,この「縦に急ぐ」姿勢が相手のリズムへと引きずり込まれる(結果として,シリアのフットボールに対して受けることになる),その大きな要因になっていたようにも感じます。


 ボール・コントロールを奪ってから,ボールを落ち着かせている局面が,あまり感じ取れなかった。相手は確かにロングレンジ・パスを基盤に縦を強く意識した攻撃を仕掛けていましたが,その姿勢に真っ向から「合わせて」しまったように見える。ボール・コントロールを奪ってから,相手守備ブロックを引っ張り出すような形でボールを動かす,と言うよりは,なるべくシンプルに,という意識だったのかも知れませんが,その意識が単調さにつながってしまったように思うのです。中盤がゲームを落ち着かせるための役割を果たす,そんな時間帯をなかなかつくれず,チーム・バランスが相手に対して攻撃を仕掛けやすい,相手に対してスペースを提供するような形になってしまった。さらには,中盤でボールを動かせるようになった時間帯でも,厳しいチャレンジ・パスをきっかけに自分たちからボール・コントロールを手放してしまう,そんな局面が印象に残ってしまった。


 先制点を奪取された局面,そして決勝点を奪取された局面を限定的に取り出せば,確かにアクシデント的な側面はあると思うのですが,ゲーム全体を俯瞰してみると,いまのチームの問題点,リズムを自分たちで動かしているようで,実際にはかなり単調なリズムでゲームを動かす傾向が強くて,その単調さとパスレンジが重なり合ってしまうと,かなり厄介な状態に陥る,ということが明確にされた,という印象でもあります。「縦に鋭く」仕掛ける姿勢は大事だけれど,相手の状態にかかわらず,「縦」だけを意識すべきだとは思いません。縦を狙うタイミング,そのタイミングを引き寄せるための「スロー」さが中盤であったり最終ラインには求められるのではないか,と思うところです。