GS、国内投入。

心理的に,「扱いやすさ」を感じさせる大きさに見えるかどうか。


 このハードルをクリアできているのだとすれば,真っ向勝負を仕掛けるとして,いい勝負が展開できるのではないでしょうか。今回はフットボールを完全に離れまして,こちらのニュース記事をもとに,新たなレクサスGSについて,ちょっと書いてみよう,と思います。



 いつもならば,デザイン面の話からはじめるところですが,今回はディメンションの話からはじめよう,と思います。


 端的に書けば,「ちょっとだけ小さなセグメントE」であります。このGSが直接的なライバルとして意識しているであろう,BMWの5シリーズと比較すると,ちょっとだけ小さなサイズに収めているわけです。販売の主力として位置付けているだろう北米市場(ワールド・プレミアも実際,アメリカでしたしね。)で,ボディサイズの大きさが決定的なネガティブになる,とは考えにくいところがありますが,欧州市場や国内市場を考えると,「扱いづらさ」を感じさせる場面が出てくる,そんな可能性も否定できません。比較対象として引っ張り出したBMWの5,ディメンションだけで言うならば,エルコーレ・スパーダがデザイン・ディレクションを担当していた時代の7シリーズ(つまりは,かつてのセグメントL),そのディメンションとほぼ互角なのです。そのときに,実際の大きさをそのまま感じさせる仕立てなのか,それとも実際の大きさよりも小さく感じさせる,そんな仕立て方なのか,というのは結構大きな要素になる,と思うのです。クロカン4駆的な言い方になりますが,クルマの四隅を感覚的につかめる,そんな視界が確保されているかどうか。エンジン・フードのデザインを見ると,中央部分にバルジが仕立てられていて,フェンダーが強く盛り上がっているようには感じられませんが,反面で意外にスクエアな印象です。エッジを意識したデザインへとテイストを変えてきた,と感じられるエクステリアですが,そのエッジが「見切り」に対してポジティブな影響を与えているようにも感じられます。ステアリングを握った状態での視界が,「感覚的な大きさ」に直結する要素かな,ちょっとだけ小さなディメンションがドイツ勢に対する武器になるかどうか,鍵を握る部分かな,と個人的には見ています。


 では,ちょっとデザインのことも。


 スピンドル・グリルをどう収めるか,もうちょっと煮詰めた印象があっても,と感じるところですし,レクサス・ディビジョンに共通する要素を感じさせるよりも,トヨタのクルマに落とし込まれているデザイン要素が思い浮かぶ,そんなデザイン・キューが個人的には気になるところです。LSのデザイン・スタディ以降,エッジを強く意識させるデザインへとシフトしてきていることは理解できるし,GSもその方向性で理解できるものです。ですが,ディテールへのこだわりがスピンドル・グリル程度にしか感じられない。もっと,レクサスらしいディテール,これからのレクサスのライト・ハウジングはこんな感じ,であるとか,レクサスらしいリア・コンビネーションはこんな感じ,という提案を積極的にしてもいいかな,と思っています。


 確かに,先代GSはアリストからの正常進化であって,デザイン面で主張をしてきたという感じはなくて,その意味で新たなGSは挑戦をしてきたな,とは思います。でも,もっと踏み込んだチャレンジがあっていい。開発を担当していたひとはジャンプアップ,という言葉を使われていたと思うけれど,もっと高く,強くジャンプしてもいいように思います。