アカデミーセンター、ハートフルクラブの指導体制について。

4−3−3を継承するかどうか,という話より。


 個人的には,「考えさせる」チーム・ビルディングをぜひ,継承してもらいたいな,と思っています。


 さて。今回はこちらのリリース(クラブ・オフィシャル)をもとに,タイトルにも掲げましたが,今季のアカデミーセンター,そしてハートフルの指導体制について書いていこう,と思います。


 まずは,ユースの体制であります。


 堀さん,そして天野さんが抜けて,今季からは新たに大橋さんが監督として着任,とのことであります。なでしこの指揮を委ねられていたひと,でもありますが,個人的には,大橋さんが動くタイプなのか,それとも昨季途中までの堀さんのように,「動かないタイプ」なのか,が大きな興味です。


 冒頭にも書きましたが,結果を意識していかなくてはならない年代だからこそ,チームが「自ら考えて」答えを導いていく,そんなチームであってほしい,と思っているわけです。ユース年代ともなれば,すでにプロフェッショナルを現実的な視界に収めるべき年代なのだから,結果を最優先項目に,という見方をされるひともおられるかな,と思いますが,「戦術的な枠」で結果を導く,そんなチーム・ビルディングでいいのかな,とちょっと思うのです。ミハイロさんが指摘するインテリジェンス,そのインテリジェンスをアウトソースするように,枠に固めてしまっては,持っているはずのポテンシャルを引き出しきれずにユースの3年間を過ごさせてしまうように思えるのです。ここ数季,ユースは4−3−3というパッケージは固定するものの,どのような戦い方をすべきなのか,という部分でのベンチワークはかなり限定的だったように思います。ピッチに立っているフットボーラー,彼らのインテリジェンスを育てる,そんな姿勢があったように(かなり好意的に見ておりますが)感じます。その姿勢はぜひとも,継続してほしい,と思うのです。


 続いて,ジュニア・ユースとハートフルを眺めてみます。


 懐かしい名前が多くクレジットされているな,と思います。たとえば,ザスパなどで活躍した金生谷さんであったり,野球的な表現にはなりますが,“ジャーニーマン”としてフットボールにこだわってきた西村さん(今季からの新任ですね。)であったり。個人的な思いを書けば,もうちょっとフットボーラーとしての姿を見ていたかった,そんなひとのクレジットであるケースも少なからずあるのですが,それはそれとして,かつて浦和に関わりを持ってくれたフットボーラーが,再び浦和に関わってくれる,ということは大きな財産だな,と思うところです。


 この財産,もっと大きく広げていく必要があるかな,と思っています。このことについては畳ませていただきまして。


 ちょっと関係が,と思われるかも知れない,ポスト・ユースでもある,大学チームとの関係性という部分から話をはじめてみよう,と思います。


 ごく一般論として書けば。


 現状におけるJクラブは,サテライト・リーグが動いていないところから見ても,なかなか育成にリソースを割けないという状態かな,と感じます。高卒選手を入団させて,3年が経過すると,などという「3年目の壁」が以前からも指摘されていましたが,いまはその壁がかなり高さを増してしまっている,という見方をすべきかな,と思うのです。このことは高卒選手のみならず,内部昇格についても言えることではないかな,と見ています。ユース段階では,プロフェッショナルとして活躍するために足りない要素がまだ見えるけれど,大学リーグという舞台で4年間揉まれればともすれば,という(いわゆる,昇格できるかできないか,ボーダーラインに立っている)フットボーラーがいるとして,内部昇格という判断に至らなかったとしても,そのフットボーラーを「次の主戦場」で継続的にウォッチする,そんな体制を強化しておくべきかな,と思うのです。もちろん,ファースト・チームから育成機能が切り離されつつある状態を思えば,大卒選手を即戦力として,というアプローチが増えてくるのも当然ですし,その意味からも大学チームの重要性は相対的であるとしても強まってきているはずです。それだけに,ファースト・チームをどのように設計するか,という視点を持っていて,同時にフットボーラーを見極める,コーチ的な視点も持っている。そんなひとが,ポスト・ユースを見守っていく立場にいてくれるといい,と思うのです。


 アカデミーセンター,そしてハートフルには,かつて浦和のキットに袖を通していたひとたちがクレジットされています。そういうひとたちと並んで,クラブ・サイドにも「浦和」のフットボールを知るひとたちが戻ってきてほしい,と思うところがありますし,クラブの将来を思えば,チーム・マネージメントという側面だけではなくて,クラブ・マネージメントの部分でもOBのひとたちが(もちろん,外部招聘のひとたちとのバランスが取れている,というのが前提に置かれるべきだと思っておりますが。)活躍できるようになるといい,と思うのであります。