対宮崎産業経営大学戦(2回戦)。

ともかくも初戦突破,と。


 天皇杯初戦,であります。


 チーム・スケジュールを振り返ってみると,9月最終週から“イングリッシュ・ウィーク”(と言って,「水曜日はカップ戦」とは限らないわけですが。)な状態がほぼ継続しています。そして,ファースト・チームが最優先項目とすべきはリーグ戦での勝ち点3奪取であって,そのリーグ戦が土曜日に控えています。コンディションを整えるだけでも時間が不足する,そんなスケジュールだろう,と感じます。


 そんな状況でのカップ戦初戦,当然ながらスターターは大幅に変更を受けています。


 理想論を書けば,誰がピッチに立とうとも,浦和は浦和のフットボールをしっかりとピッチに表現する,という形になりましょうが,戦術的な浸透,あるいは熟成はトレーニング・グラウンドだけではなくて,実戦を含めた循環の中で進んでいくものでもあるだろう,と感じています。実戦,という高い負荷が掛かった状態で,どんな戦術要素が機能して,逆にどのような戦術要素に課題が見えてきたのか。実戦で明確化した課題をトレーニング・セッションで解決,チーム戦術の熟成を進めるとともにパフォーマンスを高めていく,という循環があるはずで,となれば実戦〜トレーニング〜実戦という流れを多く経験しているパッケージと,実戦負荷,という部分で見れば必ずしも高い負荷が継続的に掛かっているわけではない(つまりは,コンビネーションの熟成なども決してスムーズではない)パッケージを直接比較してしまえば,戦い方に少なからず課題が見えてくる,というのも,やむを得ないように感じるわけです。
 ではありますが,ヤマザキナビスコカップで結果を引き出してきたフットボール,このフットボールがしっかりとファースト・チーム全体としての約束事として共有されていない,と見ざるを得ないのも,また確かではないか,と思うのです。今季狙ってきたフットボールを,戦力バランスと折り合わせるようにしてモディファイしてきたのがナビスコでのフットボールであるとするならば,その方向軸をチーム全体でしっかりと確認しておかないといけないはずです。シーズン当初のフットボールに,現実主義的な微調整をかけたフットボールが,時間帯限定であるとしても,あるいは局面限定であるとしてもピッチに表現される。そんな姿が見えなかったのは,いささかもったいない。個人的には,そう思う部分もあるわけです。


 しかしながら。カップ戦は結果が最優先項目です。そして,カップ戦初戦,特にカテゴリが違うチームとのカップ戦初戦は難しいものになりがちです。


 心理面で相手の後手を踏めば(「受ける」などという表現を使ったりしますが),相手に傾いた主導権を引き戻すために必要以上のパワーを使うことになるし,ケースによっては相手に主導権を握られたままタイムアップを迎えることにもなりかねない。内容面,と言うよりは,どれだけリアリスティックに結果を引き寄せられるか,が求められる試合だった,とも言えるかも知れません。であれば,立ち上がりの時間帯を思えば,この危険性はこの試合でもあった,というべきでしょうし,そんな状態からしっかりとリズムを引き戻したこと,初戦突破(3回戦進出)という結果を引き出したことはしっかりと評価されるべきであろう,とも思っています。