対ウズベキスタン戦(アウェイ・アジア3次予選)。

FIFAランキングが,試合の流れを決定付けるわけではありません。


 本戦への切符を争うリーグ戦(正確には,本戦出場権を争うリーグ戦への資格を争うリーグ戦ですが。),しかも敵地での試合をゲーム・プラン通りに動かせる,という保証をFIFAランキングが与えてくれるわけでもありませんし。出場枠が広がっていることなどもあって,予選が持っている緊張感がともすれば薄まったような感じもしますが,実際にはそんなことはないな,と実感します。本戦を意識したチーム・ビルディングは確かに重要だし,この意識を失うわけにはいかないけれど,“アジア”での戦いは本戦と違った難しさがあるな,と。


 そんな難しいゲームで「勝ち点1」。悪くない結果だと思います。


 ちょっと短めに,ウズベキスタンとのアウェイ・マッチであります。


 ごく大ざっぱに書けば,リズム・コントロールという部分で前半は後手を踏んでしまったな,という印象を持っています。


 恐らく,ザックさんは「落ち着かせる」ことを意識してパッケージの変更に踏み切ったのだろう,と思います。セントラル・ミッドフィールドに阿部選手を入れて,長谷部選手は(セントラル,その高めの位置という見方もできますが)アタッキング・ミッドフィールド,その中央にポジションを上げる,と。リズムを落ち着かせながら仕掛けるタイミングを狙う,という意識だったのかな,と見ているのですが,相手のリズムでゲームを動かされている(描いていただろうゲーム・プランとは距離が遠い),という印象が強かったのも確かです。
 相手は比較的,縦に鋭く,速い攻撃を仕掛けてきていました。ボール奪取エリアで考えると,比較的高めのエリアでボールを奪うことを意識していたはずですし,実際にそんなゲーム・プランがピッチからも感じ取れました。攻撃リズムをつくる,その初期段階と言いますか,ボール奪取のリズムから攻撃のリズムへと切り替えていく局面を狙って,相手はボール奪取を仕掛けていたように映りますし,その相手のゲーム・プランに乗せられる時間帯が多かった,という印象です。
 先制点を奪われた局面だけを取り出すと,外的な要因が重なっているようにも感じるし,どこか事故的な失点とも感じるのですが,失点そのものよりも,なかなかリズムを自分たちのものにしにくい環境であるアウェイ・マッチで,どのようにゲームを落ち着かせるか,という課題の方が重要かな,と見ています。


 しかしながら,後半はパッケージの再修正に踏み切ることで自分たちのリズムを取り戻してきた。誰が外れて,誰が入ったから,という要素も確かに感じるところですが,むしろ攻撃ユニットとセントラル・ミッドフィールドとの位置関係であったり距離感が修正されたことが大きいかな,と感じます。特に,セントラルのコンビネーションが再び“オリジナル”に戻ったことで,チームが軸を取り戻したような印象があります。守備応対面,も確かに大きな要素ですが,攻撃面,そのビルドアップでセントラルが果たすべき役割は相当に大きくて,ザックさんはこの位置をほぼ固定してきています。そのコンビネーションがこのチームではかなり大きな鍵になっている,と感じるところです。


 いずれにしても。アウェイで「勝ち点1」という結果は決して悪くないと思います。前半,相手にリズムを持って行かれたという部分で,どこを修正すべきかということは恐らくザックさんをはじめ,コーチング・スタッフが明確に意識しているでしょうし,レッスンをしっかりとクリアして,新たな試合に向かってくれるものと期待しています。