第91回全国高校ラグビー埼玉県予選(組み合わせ)。

再び,指定席切符の枚数が1に戻る,と。


 記念大会だった前回大会では,出場枠が2に増枠されていました。そのために,第1代表を選ぶためのトーナメントと,第2代表を選ぶためのトーナメントが分かれることになっていた。つまり。指定席切符への勝負権を争うチームにとって,マークするべきチームは明確だったのです。しかし,出場枠が通常通りの1に戻っていますから,出場枠を現実的な目標に置いているチームにとっては,トーナメント初戦が大事なのは言うまでもないとして,準決勝が重要なポイントになるな,と感じるところです。


 さて。八咫烏方面な話もありますが,今回は高体連ラグビー専門部さんが用意してくれている,トーナメント表をもとに楕円球方面の話,高校ラグビーの埼玉県予選について書いていこう,と思っております。


 さて。前回大会では埼玉第1,そして埼玉第2として出場権を奪った正智深谷深谷がAシードを確保しています。彼らには,近鉄花園での初戦だけでなくて,シードの壁をどう破ってその先に進むのか,というイメージを感じさせる戦い方を,と(かなりハードルの高いことを書いていますが。)思うわけです。近鉄花園で,長く感じることのできていないプレゼンス,このプレゼンスを高めるだけの能力を持っていると感じるからこそ,小さくまとまらないラグビーを,と思うのです。
 と,ここだけを見ると相変わらず県北勢がAシード,となりますが,すでに県北勢「だけ」がAシードを独占していた時代は過ぎ去っています。かつてAシードを確保していた進修館(かつての校名ですと,行田工ですね。)は今回大会ではノンシード,伝統校である熊谷工も今回大会ではBシードにとどまっています。
 では,Bシードにはどんなチームが入っているかな,とトーナメント表を見てみますと。
 深谷が入っているヤマには獨協埼玉に川越工,そして伊奈学園と松山がBシードとして入っています。対して,正智深谷が入っている反対側のヤマには,熊谷工に春日部,早大本庄に浦和工が入ってきています。ここ数季,Aを狙える位置に上がっていこうとしている(ように,少なくとも外側から感じることのできる)チームがしっかりとクレジットされている,という印象がある一方で,これからが楽しみ,というチームがクレジットされてもいる。今季については,浦和工がどのような戦いをしてくれるのか,ちょっと個人的に注目してみよう,と思っています。


 では,Aシードに話を戻しまして。残る2枠のAシードを奪取したのは,浦和に慶應志木であります。


 ここ数季の戦いぶりを見れば,彼らがAシードを奪取するのはごく当然のことだな,と感じるところです。確か,昨季は第2代表の切符をかけて準決勝を戦ったチームですね。このときは,慶應志木を浦和が4点差という僅差で下し,深谷との決勝戦へと駒を進めたのでしたか。昨季は浦和にとってもかなりのチャンスだろう,と見ていたのですが,決勝戦では同じ4点差で切符奪取に失敗するわけです。
 (ちょっと慶應志木に関係する方には申し訳ない,と思いつつ)ここ数季,個人的には浦和の戦いぶりにフォーカスしてきました。彼らは,単純に監督が描くラグビーを表現するのではなくて,ひとりひとりのゲーム・インテリジェンスを基盤にラグビーを描く,というチーム・ビルディングを徹底しているように,少なくともアウトサイドには感じられました。ただ,県北勢の「壁」を破る,という意味ではまだどこかに足らざる要素があるのかも知れません。
 たとえば,県北勢との対戦では,「らしさ」を明確に感じさせる時間帯が,なかなかゲーム序盤では見えてくることがない。ゲーム・クロックに表示できる時間がそれほど残っていない,という時間帯になって吹っ切れたかのような戦いを見せることがあっても,です。「らしさ」を見せることができると,相手もどこかで受けたような戦いになる。そんな形にどれだけ早い時間帯で持ち込めるか。指定席切符を現実的な目標として意識してほしい,と感じますし,その意識が感じられる戦いぶりを見せてほしい,と思っています。


 トーナメント初戦は9月24日,決勝戦は11月19日となかなかの長期なトーナメントでありますが,興味深いゲームが展開されるものと思います。