対C大阪戦(11−24A)。

誰がいたらとか,誰がいなかったからとか。


 そういうことのないように,と基盤構築を狙ったのではなかったか。そして,基盤構築の時期を過ぎたと判断(誰がどのような根拠で,基盤構築の時期を過ぎたと判断したのか,個人的にはまったく理解できておりませんが。)して,指揮官交代へと踏み切ったシーズンではなかったか。


 そのときに,基盤をどのように生かすつもりだったのか。


 結果的には,「つもり」はなかった,ということになる。新たなフレームを持ち込むのは当然として,昨季型フレームを全否定するところから入る,と。それならば,シンプルに戦術的な約束事を,最も重要なボール奪取段階から積み上げていく,どんなことがあろうと積み上げていく,という意思がピッチから感じ取れていいのに,シーズンを最終節から逆算して考えるべき時期にあっても,ピッチから感じ取れないままになっている。のみならず,中途半端に昨季型のフレームを持ち出して戦っているようにさえ映る。要求する部分が違っているのだから,局面ベースで機能する部分があるとしても,全体的にはチームが矛盾を抱えるだけになりかねない。


 いまだに今季型のフレーム,チームが持っているべき戦術的な基盤がピッチから感じ取れない。この状態で戦い方に柔軟性を,スタンディングを意識しながら「勝ち点1」を冷静に狙うゲーム・プランを,などというのはあまりに厳しい,かも知れません。


 アウェイ・マッチなC大阪戦であります。


 端的に言って,手詰まり感がある戦い方,と言いますか,ともすればぶつかり合う要素を無理に結び付けようとする戦い方をしているから,ピッチに立っているフットボーラーが混乱からなかなか抜け出せていないのではないかな,と感じるところです。
 攻撃面では,ピッチを大きく使って攻撃を仕掛ける,と。そして,個を活かす形でなるべく距離は広めに取る,と。なるほど,縦への強みを持っているフットボーラーがいますから,そういうアイディアもあるな,と感じます。しかし。基本的なパッケージが1トップであるということを組み合わせてみると,「ワイド」という言葉だけが強調されると厳しいことになる,というのもまた確かではないか,と思います。そして,1トップがどれだけボールをしっかりとコントロールできるか,も。今節について書けば,コンディションの問題かも,ですが,ランコ選手への収まりがかなり悪かった。これでは,攻撃リズムを構築しようにも,なかなかリズムを「流れ」へと結び付けられない。さらに。1トップからボールを引き出す距離が,攻撃を仕掛けるための距離と同じである,とは限らない。むしろ,コンパクトに1トップとの距離を縮めて,そこからワイドに,という局面が見えていいと思うのですが,今節に限らずなかなか今季の浦和ではこの形は描かれない。「ワイド」で固定されてしまっていると感じるのです。
 守備応対面でも,ボール奪取を組織として仕掛けていく,という姿勢がいささか薄い。今節であれば,CBのマシュー選手と永田選手,そしてセントラルの啓太選手と暢久選手で構築されるブロックを,「組織的に」機能させようというアイディアが受け取れない。反面で,高い位置でのライン・コントロールを意識付けされているだろうことが受け取れる。マークを剥がされてしまえば,そして,守備ブロックのカバーリング,そのタイミングにズレを生じてしまえば,高いライン設定はそのまま,自分たちを窮地に追い込むことになる。マンマークであること,ラインを高くセットすること,という「要素」に強く意識が傾き過ぎることで,自分たちのフットボールから「組織性」が奪われていく。


 必要な要素と,矛盾する要素が整理されないままに混在してしまっている。今季の浦和はどのようなフットボールをしたいのか,そのための要素を絞り込んでいかないと,戦い方も明確にならないし,柔軟性も出しようがない。あらゆるものを取り込みすぎて,逆に硬直しきってしまっているような,そんな印象を持ちます。