トップ10フィニッシュを決めたドゥカティ(鈴鹿8耐・2011)。

ドゥカティに,マニュファクチャラーズ・ポイントをもたらしたプライベティア。


 今季の耐久選手権についてのページ(FIMオフィシャル・英語)を見れば,このような表現は大げさでも何でもない,と理解してもらえるはずです。


 さて。今回は再び鈴鹿8耐の話を,こちらのページ(TOHOレーシング・広島デスモ)をもとに,ちょっとだけ書いておこう,と思います。


 まず,TOHOさんのページで驚いた,と言うか,すごく興味深かったのは

 レース用車両とはいえないノーマルバイク


という記述です。


 鈴鹿8耐は,確かに耐久レースではあるのですが,同時に厳しいスプリントの連続でもある,と表現されます。そんな過酷なレースを戦い抜くために,TOHO−デスモさんは敢えて,ノーマルであることを選んだのかも知れないな,と思います。
 ドゥカティは,市販段階から「公差」を詰めた設計である,と言われます。たとえばピストン・クリアランス,などという表現をしますが,ピストンを組むときの余裕を小さく設定する,というわけです。さらには,「余剰強度」も小さめにセットされているのだとか。つまり,市販段階から,レーシング・マシンに搭載されるエンジンのようなセットが施されている,とも言えるのです。そんなエンジンに,SBK仕様の部品を組み込めば,「速さ」を高めることができるとしても,「強さ」を失うことにもなりかねない。そんなことを,意識したのかな,と思います。ノーマルであれば,「強さ」を維持できるのではないか,と。


 でも。マシンだけが強かったから,このリザルトが残ったのだ,とは思いません。


 どこかが飛び抜けて強い,だけだと恐らく耐久レースは勝てない,と言いますか,いい成績を残すのは難しいような印象です。速いライダーだけでもダメだし,速いマシンだけでもダメで。ライダー,そしてマシンの能力を安定的に引き出すために,チームとしてのチカラが試される側面もある,と思うのです。そして,チームのチカラがすごく大きな要素になっていたのではないか,と思います。実際,予選から決勝へ,という段階ですでにチームのチカラは発揮されていたようですし,最終的な結果から逆算して考えてみても,しっかりとしたレース・オペレーションが展開されていただろうことがうかがえます。


 かつては耐久レースでも,その存在感を示していたドゥカティ。最近はSBKでの存在感が強くて,耐久レースではそれほど大きな存在感をみせてはいなかったように思いますが,この成績がドゥカティ本社を動かす,そのきっかけになってくれるといい,と思います。それだけのインパクトを,TOHO−デスモさんは与えた,といっても決しておかしくはないと思うのです。