対川崎戦(11−19A)。

やはり,欧州的なアウェイをどこかで意識しているな,と。


 守備的な安定性をベースに,相手が狙うフットボールを抑え込みながらゲームを動かしていく。中野田でのゲームでも,立ち上がりから積極的に主導権を掌握して攻撃的に,というよりは守備面の安定性を意識しながらゲームを動かす,という意識が強めですが,その意識がよりアウェイでは明確になる,という言い方でもいいか,と思います。リアクティブなゲーム・プランであるとは思いますが,徹底してこの戦い方を表現できるのであれば,そして相手のフットボールを抑え込むためのアプローチとして適切であれば,決して否定されるべきものではないはずです。


 いつも通りのスケジュールで,のアウェイ・マッチな川崎戦であります。


 さて,話戻しまして。


 “ダッチ・フットボール”な要素が表現できるようになっているかどうか,は別として,戦い方の方向軸は,かなり明確になってきているな,と感じます。ではありますが,ディテールな部分に課題がまだあるな,と感じるところです。
 まずは守備応対面での話です。
 ストリクト,ではないとしても,マンマーク・ディフェンスの要素がかなり強い守備応対を今季は意識しています。そのために,ポジショニング・バランスが重要な意味を持つはずのダッチ・フットボールを意識していながら,ボール・コントロールを奪い返して,自分たちが攻撃を仕掛けていく,というタイミングでのポジショニングを考えてみると,ポジショニング・バランスが維持されている時間帯がそれほど多くはありません。マンマークを徹底すべき距離と,マークを受け渡していくべき距離という部分で,もうちょっと整理できる要素があるように感じます。
 また,今季の浦和は「距離感」がチーム・コンセプトにおける重要な要素である,とされますが,守備応対面での距離感を考えると,チーム全体が低く構えさせられる時間帯がなかなか潰しきれない,という印象を持ちます。自分たちの戦い方,そのための距離感とは離れてしまう時間帯があるな,と感じるわけです。高い位置から連動して守備が仕掛けられていれば,最終ラインがある程度の余裕を持って守備応対を仕掛けられるのですが,高い位置での守備が不安定な状態になると,その不安定さが守備ブロックに波及して,チームをコンパクトに,という意識よりもラインを低く構えて,という意識にどうしても傾いていくことになる。


 ここで,ゲーム・プランではなくてチーム・マネージメントの課題に入るわけです。


 端的に指摘してしまえば,いつかも書いたことですが,リザーブの組み方です。高い位置からの守備,ボール奪取までを狙った守備ではなくて,ボール・ホルダーを自分たちの網へと引っ張り込むようなファースト・ディフェンスを機能させないと,チーム全体としての守備応対が低めのエリアで展開されることになって,結果として逆襲を狙うとしてもかなりのエリアを奪い返さないとなかなか逆襲が仕掛けられないことになります。
 戦術交代によって,チームに何らかのメッセージを打ち出すとして,意識を攻撃方向へと強く傾ける,というメッセージを打ち出すには好適なリザーブ構成となっている反面で,守備応対をリアクティブなものから,自分たちから仕掛けていく守備応対へと引き戻す,そのきっかけとなりうるような形のリザーブ構成になっているか,と考えると,ちょっとばかりバランスが攻撃方向だけに傾き過ぎているような,そんな印象を持つところです。


 どのようにして,「勝ち点3」を奪いに行くか,というチームとしてのアプローチは明確になってきています。また,戦い方が徹底されるようになったこともポジティブな要素です。
 ただ,チーム・マネージメントが戦い方とバランスできていない,そんな要素が見える。守備的な安定性を強く意識付けていて,守備バランスがそのまま攻撃面でのバランスへと結び付くフットボールを狙っているのであれば,攻撃的なメッセージだけに傾くのではなく,守備バランスの微調整を同時にメッセージとして打ち出せる形であってほしい。


 (もともと狙っていた形かどうか,は別としても)「勝ち点3」を奪うための戦術アプローチが徹底できつつあるのだから,その戦い方を支え,補強する部分にも徹底できる形を,と思います。