ダウンサイズなAMG。

やはり,M5と同じアプローチですね。


 排気量は縮小するけれど,ターボ・チャージによって「実質的な」排気量を確保する,と。


 川崎戦を控えているタイミング,ではありますが,敢えてフットボールからは離れまして,こちらのニュース記事をもとに書いていこう,と思います。


 メルセデスのハイ・パフォーマンス部門を担当するのが,AMGであります。


 比較的小さなボディであっても,大胆に大排気量エンジンを搭載してくる,というのがAMGのアプローチではあるのですが,環境面への配慮,具体的には二酸化炭素排出量の抑制であったり燃料消費率の向上という要請を,AMGも意識しなければなりません。そこで,彼らは搭載エンジンを,6.3リッターから5.5リッターへと縮小,このエンジンをツイン・ターボによって過給する,という技術アプローチを採用してきたわけです。



 このアプローチを可能にするのが,ターボ・チャージャーの進化であります。


 かつては,ピーク・パワーを狙うのか,それとも低回転域からの過給を狙うのか,と,ターボの使い方は明確に分かれてしまっていました。たとえば,R31に設定されていたホモロゲーション・モデル,“GTS−R”はアフター・マーケットで使われるような大型タービン,T−04Bをセットしていました。このT−04BがセットされるエンジンはRB26,ではなくてRB20のままでしたから,当然低回転域は相当に厳しかった,と聞きます。低回転域から高回転域まで,しっかりと使えるシングル・ターボ,というのはこの時期,なかなか難しかったわけです。
 そんな状態を変えるのが,“ツイン・スクロール”と言われる要素技術であります。
 ターボ・チャージャーは排気ガスによって駆動される過給器でありまして,その排気ガスの流速がターボ過給が掛かるかどうか,を決めるわけです。その流速を低回転域でも確保するために流路を分割して,低回転域ではひとつの流路だけを使い,タービンを回すのです。必ずしも小さなタービンをセットしなくとも,低回転域から過給が掛かるようになっているわけです。


 もちろん,ターボ技術だけで環境面の要請をクリアするわけではなくて,この記事をまとめた曽宮さんによると,ヒューエル・インジェクション関係の見直しやアイドリング・ストップ機構の搭載などによって,低燃費化が図られている,とのことであります。
 そして,駆動系も低燃費化を意識した変更を受けているようです。AMGは湿式多板クラッチを使ったATを搭載しているのですが,変速モードをアイドリング・ストップ機構と連動させたり,回生ブレーキによるエネルギー回生効率を高めている(ミュンヘン方面ですと,エフィシェント・ダイナミクス,という技術になりましょうか。),とのことであります。


 さて。AMGもエコを意識する時代になっているわけですが,お値段もダウンサイズ,というわけにはいかないようです。日本市場への導入時期は未定,とのことですが,現地価格の邦貨換算を見る限り,なかなか気張ったプライス・タグとなるのは間違いなさそうです。