対清水戦(11−16)。

「浮き足立つな!」


 そう,テクニカル・エリアからメッセージを打ち出すべき立場が,結果として浮き足立っては,クールを失ってはいなかったか。あの時間帯が,前掛かりにシフトしなければならない時間帯だったのか。ゲームそのもの,というよりも,「ゲーム・マネージメント」に違和感を感じてしまったのが今節,だったように思います。


 いつもよりも考えをまとめるのに時間が掛かってしまいましたが。


 中野田での清水戦であります。ありますが,今回はゲームそのものを書く必要性を感じていません。チームが「戻るべき場所」を失った状態で,ゲームそのものを書く意味が果たしてあるのかな,と感じているわけです。今回は,ちょっと遅くなりましたし,敢えて「そもそも論」に絞って書いていこう,と思います。


 さて。端的に言ってしまえば,「チーム・バランス」という要素を感じ取れない。大きな課題ではないかな,と思うのです。


 個をコーディネイトするための重要な要素,戦術的な基盤であったりフレームを失った状態で,ピッチに送り出されているのではないか,という疑念を持たざるを得ないわけです。ポジション・フットボールならば,ポジション・フットボールを徹底して落とし込もうとすればいい,と思うのです。思うのですが,「個」を必要以上に大きく捉えたポジション・フットボールを指向しているように映った。突き抜けた個がある,というのであれば,その個を中心とする戦術パッケージ(02シーズンな香りがしますが。)もあり得るのだけれど,いまの浦和を冷静に眺めれば,コンビネーションをしっかりと活かさないと個も活かせない,という結論が導かれるはずです。そのときに,4−3−3をモディファイするのではなくて,4−4−2を持ち出してしまった。中盤の機動性を活かして距離感を縮める,というよりも,ポジション・バランスをもともとの状態から縮めよう,という発想だから,結果として行き詰まり方が似たような形になってしまう。


 組織であったり,機動性という要素が,ちょっと軽過ぎてはいないか。今節の戦術交代でも,そんな印象を持っています。チーム・バランスを積極的に崩さないと局面打開が,という側面はあるとしても,そのバランスは機動性によって崩すこともできるのです。守備バランスを崩さなくとも,機動性を引き上げることで攻撃面でのバランスを変えることはできるはず。そういう視点が持ち込まれている,とは思えない。


 そして,先制点を奪われたあとの話です。


 警戒しなければならないFKから,先制点を奪われる。先制点をしっかりと奪い,主導権を掌握しなければならないのに,後手を踏むケースがあまりに多い。今節にあっても同じ図式へと嵌り込んだのですから,FKへの対応が適切なものだったのか,厳しく問われる必要がある,とは思います。


 思いますが,戦術交代に踏み切る,その必要性に迫られていた時間帯だったか,までは疑問なのです。


 チームに動揺が広がっているのであれば,その動揺を収めるべき時間帯ではなかったかな,と思います。ゲーム・クロックが30:00を示してもいないのですから,ハーフタイム後を意識するにはまだ早い。チームを焦らせるようなメッセージを送るのではなく,落ち着くようにメッセージを送るべきタイミングではなかったか,と思うのです。攻撃面でメッセージを送らなければならない時間帯は確かにあるけれど,そのタイミングがあの時間帯だったのか。守備バランスを崩してまで,攻撃を分厚くする必要がある時間帯だったのか。


 相手のある競技でありながら,自分たちからリズムを崩してしまった,という側面が相変わらずあるな,と感じざるを得ないのです。


 「勝ち点3」から遠ざかってしまっている,という要素がこの焦りの背景にある,と理解することも当然にできます。できますが,かなり早い段階から,チーム・バランスであったり戦術的なフレームという要素を感じにくい状態が継続していますし,そんな状態から抜けきれてもいない。
 連戦を戦うのと同時に,戦術的な課題をひとつひとつ潰すというのは,かなり難しいことかも知れません。それでも,戦術的な基盤が揺らいでいる状態を放置するわけにはいかない。「勝ち点3」という足掛かりを何としても奪取しなければならないですし,そのための「前提条件」を整備していかないといけない,と思うのです。この状態を冷静に考えるならば,クラブ・サイドから出てきたシーズン開幕前の目標設定は非現実的だった,と評価せざるを得ません。置かれた位置から導ける,より現実的な目標へと再設定することは当然でしょう。