テスト継続中(対チェコ戦・KCS2011)。

ギアの感触を見るには,少なくとも90分を使いたい。


 4を基盤とするパッケージを加速に使うのか,それとも最初から使うべきなのか。その判断材料としても,3を基盤とするパッケージをできるだけ引っ張ってみる必要がある。ペルー戦では,コンディショニングの問題もあって,主力選手をキックオフ段階から組み込んだ状態で3を評価できなかった。(実際には勝ち点3を奪えなかったけれど)勝ち点3奪取を狙うという意味もあって,前半段階で3のテストを中断してはみたが。「結果」というよりは,ワールドカップ予選,という実戦に向けたテストとして,このカップ戦を使っておきたい。そして,そのテストは「実戦負荷」が高ければ高いほどいい。であれば,主力のコンディショニングが進んだ段階であるこの試合で,3への戦術理解度が現状においてどれほどか,どれだけ機能するのかチェックしてみよう。より実戦環境へと近づけるためにも,戦術交代枠は3に抑えて。


 そんな指揮官の思考過程が見えるような,見えないような。


 さて。チェコ戦であります。スタンフォード・ブリッジをホーム・スタジアムとするゴーリー,彼の存在感が際立っていた試合でありますが,ザックさんとしては「結果」というよりは「チーム・ビルディング」により強く意識を傾けた試合だったかな,という印象があります。それでは,ちょっと短めで。


 さてさて。大ざっぱな印象ですが,「縦」の加速感,特に中央での加速感がまだ表現不足かな,と思いますね。いわゆる,ポジション循環をどのようにして引き出すか,という部分であります。3でのポジショニングと,4でのポジショニングは当然に違いますし,であれば視界も微妙な違いを生じているはずです。パス・コースを,という局面でどう動くとパスを繰り出せるか,あるいはパスを引き出すためのフリー・ランを仕掛けられるか,という「イメージ」がまだまだ固まる段階には至っていないな,と思うわけです。それだけにチェコ戦では,どうも中央が窮屈な(=距離感が遠い,ではなくて,むしろ近い)時間帯が多かったように感じます。チェコがしっかりとブロックを構築してきた,という部分も指摘すべきかな,と思いますが,このブロックに隙を作り出すためのコンビネーション,という部分でまだ3は「着慣れていない」印象があります。


 ただ,第1戦からの調整が機能しているな,と思う部分も当然あります。


 アウトサイドとウィンガーとの関係性であったり距離感,コンビネーションの感触は好転しているように感じられるところです。「もともと」の位置が違って,その違いゆえに守備応対への入り方,だったりどこまで追うか,などが違ってはくるのだけれど,攻撃面でそれほど大きく違いが出るわけではない。そんな意識を内田選手であったり長友選手はしっかりと表現してきたかな,と見るわけです。ひさびさに「トライデント(3又の銛,でありますな。)」という表現を持ち出しますと,両翼の銛,その感覚は3的になってきているのだけれど,中央の銛ををどう活かすのか,がまだちょっと曖昧かな,と感じます。まだまだ煮詰められる感覚はありそうだし,指揮官もそんな感覚を持っているようです。と同時に,あくまでもこのチームがスムーズに機能するのは4を基盤とするパッケージである,という意識もあるようで,4を排除する意図もなさそうです。


 3が,有力な戦術オプションになりうるのか,どうなのか。


 ある意味で,「望んでも得られない」実戦負荷が掛かる試合が組まれてもいますので,その試合をどう使うか,が注目かな,と思いますし,3が加速用なのか,それともスタート用なのかがうっすらと,であるとしても見えてくるのかな,と感じます。