JSB初戦に復帰参戦。

昨季終了をもって,卒業だと。


 個人的には,「もったいない」という言葉以外が思い付きませんでした。


 ホンダ,というメイクスに思い入れを持っているわけではありませんが,WGPなどでの活躍はしっかりと知っていました。また,長きにわたって第一線を維持していること(たとえば,2ストロークの能力を引き出すのみならず,4ストローク適性もまた高いことなど),その凄味を感じてもいました。アウトサイドな人間でさえこうなのだから,インサイドにいるひとたちが「もったいない」と思わないはずがない。と思っていたら,やはりこんな話があったようです。伊藤真一選手に贈られたボード,そこに書かれている文字は「留年」。「卒業」するには早いでしょう,という思いが込められたボード,だと思います。


 このコラムには,どうしてJSBからの卒業(正確には,フル参戦からの卒業,と言うべきかも知れません。)を意識したのか,その一端がコメントとして掲載されていて,なるほどと思わせるものがあるのですが,今季初戦,うれしいクレジットを見つけることができました。


 今回は,フットボールを離れましてホンダさんのレース・レポートをもとに書いていこう,と思います。


 ホンダさんのページには,JSB開幕戦に伊藤選手が参戦するに至った背景が書かれています。ホンダさんの中のひとによると,伊藤選手を開幕戦に,と考えたのはTSRの監督だった,とのことです。昨季のシーズン・チャンプを擁するチームであって,ホンダとの関係も非常に深い名門であります。その名門チームを率いる藤井監督が関係各社と伊藤さん本人の了承を得て,参戦に漕ぎ着けたのだとか。恐らくはTSRさん自身のスポンサーと,もともと伊藤さんとタッグを組んでいたコハラさん,そして伊藤選手をサポートしてきたケーヒンさんなどにしっかりと話を通した,ということでしょう。どれだけのリード・タイムがあったのか,など,アウトサイドからは見えていない部分も多く,恐らく思うよりも短時間に各方面に話を通すことになったのだろう,と想像しますが,「東北人魂」(ちょっと,小笠原選手の言葉を借りてみました。)を示してほしい,と藤井監督は思ったのでしょうし,そのためにできるだけのことを,と思っていたのだろう,と推理します。


 で,(開幕戦限定なのか,それともどうなのか,は別として)今季開幕戦には「留年」とあいなった伊藤選手でありますが,さすがは「留年」を望まれるだけのことはある,と思う戦いであったようです。鈴鹿での開幕戦がどんな感じだったのか,については,ホンダさんのレポートに譲りたいと思います。


 ちょっとばかり気の早い話ではありますが,今季の鈴鹿8耐には,秋吉選手とのコンビで参戦する,という話も公式に発表されたとのこと。フル参戦を「卒業」したはずなのに,いまだ勝負権を持ち続けているわけですから,8耐でも勝負権を持っている,と見ていいでしょう。どんな戦いとなるのか,いまから楽しみであります。