WGP参戦50周年。

確か,昨季まではフィアット・カラーでした。


 であれば,ヤマハらしさはあまり見当たらないのか,と思われがちですが,実際にはYZF−M1,そのナックル・ガード下部に“ストロボ・グラフィック”を見つけることができます。このストロボ・グラフィック,ヤマハのファクトリー・カラーにとって重要なデザイン要素だったりするのです。


 そして今季の参戦体制は,と見ると,“ヤマハ・ファクトリー・レーシング”。


 スポンサーが集まらなかったのだろうか,と余計な心配をしたくなるところですが(国際的なタバコへの規制強化であったり,リーマン・ショックなどの影響はスポンサー獲得についてかなりの影を落としているのだとか。),どうもヤマハの意識は違ったところにあったようです。その「違ったところ」,つまりはこういうこと,のようです。


 今回はフットボールを離れまして(とは書きましたが,微妙に引っ掛かるかも知れません。),ヤマハ発動機さんのプレス・リリースをもとに,WGP参戦50周年記念カラーなM1について書いていこう,と思います。




 さて。意外,と思われるでしょうか。


 ごく最近のヤマハ,彼らが採用してきたファクトリー・カラーを念頭に置くならば,確かに「意外」な印象を与えるかも知れません。このカラーリングにはどこにもブルーやシルバーが使われていなくて,むしろ「浦和」なトリコロールなのですから。ごく最近のヤマハだけを見れば,確かに意外かな,とは思います。


 でも,「懐かしい」と思われる方も少なからずおられると思います。ヤマハのファクトリー・カラーが浦和なトリコロールだった時期が,実際に存在するのです。WGPの最高峰が,4ストローク・999cc(現行の車両規則だと800cc)へと変更される前,2ストローク・500ccだった時代には,このようなカラーリングで新たなレーシング・バイクが発表される,というケースもあったのです。たとえば,250ccクラスの市販型レーシング・バイクである,TZ250が発表されるときにはこのカラーリングが採用されていた時期もある,というわけです。さらには,映画でこのカラーリングを見たことがある,という方もおられるかも知れません。のちにヤマハのエースとなる,平忠彦さんが劇中の吹き替えを担当した映画ですが,そのときYZRに施されていたカラーリングは,このカラーリングにごく近いものだった,という記憶があります。


 というように,意外かも知れないけれど,実際にはそれほど意外でもないカラーリングなのです。


 思うよりも,YZF−M1に似合っているな,と思いますね。この特別なカラーリングが施されたM1,ラグナセカ・ラウンドとアッセン・ラウンド(ダッチTT,なんて呼びたくなりますが。)で実戦投入されるとのことです。ベースカラーは違うけれど,USインターカラーとの共通性を感じさせるカラーリングですので,北米がお披露目の舞台,というのも納得ですし,アッセンはWGPを長くホストしてきたサーキットですから,これも納得です。となると,このM1がどのポジションでラグナセカ,そしてアッセンのコントロール・ラインを通過するか,であります。ポディウム中央,という勲章込みで50周年を,とヤマハのスタッフは思っているはずですし,個人的にもそんな話がもたらされることを期待しています。