スタンフォード・ブリッジには誰が。

恐らく,どんな結論であるとしても「双方の合意に基づく契約満了」というリリースでしょうね。


 間違っても,タイトル奪取に失敗したからお引き取りいただいた,とは書かない。でも,実際にはタイトル奪取の可能性を失ったから,その責任を指揮官に,ということが言外に示されているような気がするし,それ以上にクラブと指揮官との関係,さまざまな側面での関係にネガティブな意味での変化が訪れたのだろう,と読み取ってしまう。継続してこの指揮官にファースト・チームを預けよう,というクラブの信頼が揺らぎ,その揺らいだ信頼が戻ることがなかった。その結果としてのリリースなのかな,と読み取ってしまうのです。


 そういう決断を,100%否定するつもりもないけれど,問題は指揮官交代に隠れた「クラブの意図」なのだ,と思います。どういうジャンプアップを意識しているのかな,と。


 さて。こちらの記事をもとに,スタンフォード・ブリッジ方面の話をちょっと書いてみよう,と思います。


 どうも,スタンフォード・ブリッジダッグアウトカルロ・アンチェロッティの姿を見ることができるのは今季が最後,という雰囲気が漂っております。その雰囲気を裏付けるように,フース・ヒディンクと交渉,というお話であります。では,UKでどう見ているのか,とサッカーネットにアップされている記事を斜め読みしてみると,カルロ自身は去就に関して明言を避けている,と言いますか,どういう結論であっても受け止める,というイタリアンらしい態度のようです。むしろ,比較的敵将との「場外戦(言葉による心理戦)」を展開することが多いサー・アレックスなどは,カルロがスタンフォード・ブリッジから去る,という結論はクラブにとってどうなのか,などという感じのコメントをしているようです。


 タイトル奪取をもってしても,指揮官としての地位を確保し得るものではない。


 確かに,カルロが長く仕事をしてきたカルチョな世界では,そんな形が往々にして見られるな,と思い出しますし,不思議な話でもないな,と思います。


 でも,だからと言って納得しているわけではなくて。むしろ,反対方向の印象を持っています。カルロのチーム・ビルディング,特にチェルシーでのチーム・ビルディングはそんなに守備方面には傾いていないな,という印象を持っています。タイトル奪取のシーズンを思い浮かべてみても,リズム・コントロールが本当に巧みなチームに仕上げてきたな,と見ていました。あのバランスが,確かにちょっと崩れたかな,と思うところはありますが,でも決定的に問題が,というわけでもないかな,と。それだけに,カルロが長期的にこのチームをどのようにハンドリングしていくのだろう(戦力的な変化にどう対応して,フットボール・スタイルの微調整をかけていくのか),という興味もあったわけです。ですので,サー・アレックスの懸念はそのまま個人的な思いに重なる部分があるな,と思うのです。


 タブロイドなメディア,彼らの記事がもとの話でもありますし,100%フースの方向で,ということもないでしょうが,少なくともカルロの来季はなさそうだ,と。クラブが意図するところを推理するのは難しいですが,それにしても個人的には「もったいない」という感じが強い話です。