LEAF NISMO RC.

日産の本気度が伝わる,レーシング・コンセプトであります。


 サイドシル位置がかなり高く,その材質はカーボンであることが見て取れます。わずかに確認できるペダル,その剛性もかなり高そうですし,レーシング・バケットに着座したときに見える景色には,どこかR91CP的な雰囲気を感じもします。そしてもちろん,GTマシンとの共通性を感じもする。「ハコ」ではあるのだけれど,実際には限りなくスポーツ・プロトタイプ的な設計である,ということを示しているように思います。


 今回はフットボールから離れまして,オートスポーツさんのニュース記事をもとに,日産が開発中のレーシングEVのことを書いていこう,と思います。


 さて。今回書いていこうと思うのは,日産がニューヨークショーに持ち込んだコンセプト・モデルであります。日産が市場投入しているフルEV,リーフのイメージを巧みに落とし込みつつ,純然たるレーシング・マシンとして仕立てられた,“リーフ・ニスモRC”であります。このレーシングEVを知ったのは,いつもお世話になっている“webCG”さんを通じてですが,その記載されていたスペックだけでもなかなかに面白いな,と感じました。リーフが持っているシルエットは確かに引き継いではいるものの,市販のモノコックを生かしてレーシング・マシンに,という“グループN的”な仕立て方ではありません。オフィシャル・フォトを見る限り,ルーフのシルエットやディテールでリーフらしさを残しつつ,シャシー・エンジニアリング的には“LMP的”,スポーツ・プロトタイプの文法に忠実な仕立て方を選択していることが読み取れたわけです。確か,CGさんではワンメイク・レースという話が出ていたように思いますが,それにしてはかなり本格的な仕立て方だな,と思いましたし,それだけに欧州や北米のレースでその姿を(レース参戦,というわけにはいかなくとも)見せられると面白いな,と思ったわけです。


 ではありますが,です。


 CGさんの記事だけでは,(疑っているわけではないのですが)どこまで本気で日産がこのレーシング・マシンを開発しているのか,ちょっと判断が難しい,と思ってしまったのも確かです。そんな「うっすらとした疑問」がすっかり溶けたのが,オートスポーツさんの記事に掲載されている,リーフ・ニスモRCの姿だった,というわけです。


 筑波でテストをしているリーフは,何のカラーリングも施されておらず,カーボン・コンポジットらしい姿です。その姿勢はなかなかに安定してもいる。そして,記事にはテストを担当した松田選手のコメントも掲載されていますが,EVを評価すると言うよりも,レーシング・マシンを評価していることがうかがえるもので,そんなコメントからも“レーシング・マシン”としての完成度がなかなかに高い,ということを感じさせるものがありました。


 もともと,コンバージョンでEVを仕立てていたひとたちからすれば,EVでレーシングなんて当然,という思いでしょうし,実際にレースも開催されていたりします。でも,このリーフはコンバージョンではなくて,メーカが本気になって開発をしてきた,というところに意味があるな,と思うのです。それまで,「知る人ぞ知る」だったレーシングEVの世界を,やっとメーカが気付いた,と言いますか。今回はリーフのシルエットを生かしたスポーツ・プロトタイプなマシンですが,オープンホイーラーなマシンでもフルEVを開発してくるメーカが出てくることを期待したいですし,こういう「面白いこと」をいろいろなメーカが手掛けてほしい,と思います。