Stoke goes to the CUP Final.

再び地味なクラブが,なんて思われた方も多いかな,と思います。


 思いますが,今季の準決勝は“Great Upset”にはあたらないと言うべきです。実際には実現しなかった話ですが,たとえばリーグ・チャンピオンシップを戦うレディングがウェンブリーへの切符を奪取した,であるとか,さらに下のリーグ・ワンを主戦場としているレイトン・オリエントが準決勝へと駒を進めたとなれば,“Great”かはさておくとしても“Upset”であることは間違いないでしょう。でも,この準決勝はプレミアシップを主戦場としているクラブが戦っているわけですから,「残るべきクラブ」が残ってきた,とも言えるわけです。それに,FAカップは各ラウンドが終了するとドローをするために,早い段階で強豪クラブ同士の対戦が実現してしまうこともあるわけで,今季も例外ではないのですね。


 今回は,日刊スポーツさんの記事をもとに,ひさびさのUKな話を書いていこう,と思います。


 今回取り上げたいのは,ボルトン・ワンダラーズを5−0で退け,決勝戦への切符を奪取したストーク・シティFCであります。


 プレミアシップを戦っている,と言っても違和感を持たれる方もおられるかな,と思います。それほどに,下部リーグを戦っている時期が長かったクラブであることも確かなのです。さらには,いままで獲得してきたシルヴァーウェアが,あまりにも少ないのです。掲げたカップは,リーグカップを1個だけ,なのであります。でありますれば,地味と言われるのも無理からぬところですし,「特記事項なし」と書きたくなるクラブではあります。しかし。誰がクラブに在籍していたか,となると話は別で。“マシューズ・トリック”というフレーズをどこかで聞いたことがある方も,おられるかと思います。スタンリー・マシューズがプロフェッショナルとしてのキャリアを踏み出し,そしてそのキャリアを閉じたクラブがストーク・シティなのであります。付け加えますと,オールド・ウェンブリーでイングランドを優勝へと導くゴールを奪った(ドイツ方面からは「強奪した」と言われかねないわけですが。)ジェフ・ハーストも,このクラブに在籍したことがあるのです。


 クラブが獲得してきたシルヴァーウェアよりも,在籍したフットボーラーについて書く方が長くなる。


 こういう部分に地味さを感じてしまうところも確かにあるわけですが,反面でなかなかしたたかにプレミアシップを戦っている,と評価することもできるか,と思います。トップフライトを果たしはしたものの,これまでの実績を考えればエレベータ,と思われてもやむなし,だったわけですが,実際にはプレミアを主戦場とし続けることができています。今季についても,降格圏との勝ち点差は決して大きくはないものの,同じ勝ち点を獲得しているクラブと比較して得失点差でアドバンテージを持っている。リーグ戦終盤で大量失点を喫するような形に陥らなければ,来季もプレミアシップを戦える。そんなポジションに付けているクラブなのです。


 さてさて。“Club Honours”という項目に,“FA Cup(2010〜11)”というクレジットを付け加えることができるかどうか。対戦相手はユナイテッドをウェンブリーで退けたシティズンズでありますから,そう簡単に書き込めるとは思わないけれど。でも,クラブ史上2つめのタイトルを掲げるという場面に出会いたい気も,するのであります。