コパ・アメリカと4カ国対抗戦と。

個人的には,どちらの理も理解できたのですね。


 辞退を打診した(とされる)JFAの理も理解できるし,リーグ戦が過密日程化することなどを踏まえて,選手派遣に対して消極的にならざるを得ないJの理も理解できる。さらには,翻意を促した南米方面の理(正確には打算かも知れないし,思惑かも知れませんが,でも「タテマエ」を踏み外さないところにしっかりとしたポリティクスを感じるのも,また確かです。)も理解できる部分があった。


 リーグ戦に軸足を置いているのは確かなのですが,反面でリーグ戦の権威を高める,という要素を代表チームが持っていると思っているのもまた確かです。代表チームが,厳しい実戦環境で存在感を高めてくれる(勝ち点を奪取することであったり,トーナメントで存在感を示す)ことは,直線的ではないとしてもリーグ戦の権威を高め,存在感を高めてくれると思うところがあるだけに,コパ・アメリカ出場権を手放す,というのはあまりにももったいない判断に映ったわけです。


 結果として,コパ・アメリカを戦うことになり,Jも協力するということで落ち着いた,と。ただ,7月が中断期間からリーグ戦日程へ,という流れの中で影響がやはりあった,ということになりましょう。ということで,今回は日刊スポーツさんの記事をもとに。


 ちょっと遠回りなところから話を始めますと。


 天皇杯などのスケジュールが詰まっているから,リーグ最終節を12月第1週から繰り下げる,という措置はなかなか採用できないかな,と感じます。もちろん,イングランドのように「カップ戦は水曜日」というやり方もあり得る話ですが,となるとJFLや地域リーグを含めて大規模なリスケジュールが必要となりますし,恐らくそれは難しい話でしょう。そして,クラブに掛かる負荷も相当なものになりますから,なかば自然と「ベスメン」問題が浮上することにもなるのかな,と思います。個人的には,監督がスターター,そしてリザーブとしてマッチデイ当日に発表したフットボーラーが「その時点での」ベストメンバーである,と理解していますし,もっと言えばクラブとしての「優先順位」は厳然と存在しているとも思っています。このような,根幹に関わる問題が再び表面化することを回避しながら,同時にリーグ最終節を12月第1週から動かさずに,となれば7月以外の選択肢はあり得ないでしょう。


 同時に,コパ・アメリカへの選手派遣に「条件付き」ではあるとしても協力をする,と。Jクラブにしてみれば,かなりの譲歩をすでにしている,となるはずです。ここで,さらに「当初予定通り」のトーナメントを差し込まれるわけにはいかないし,JFAとしても「譲歩すべき部分」を譲歩することが求められてくる。日刊さんの記事にある,4カ国対抗戦がその譲歩対象になった,と見るべきかな,と思うわけです。


 最終予選に向けて,関塚さんが狙うフットボールをさらに詰めていく,そして実戦環境でどれだけ戦術理解度が高まっているか,逆に潰し切れていない戦術的な課題がどこにあるかを確認する,そんな位置付けをしていたのかも,と思いますが,冷静に考えてみれば最終予選で再び対戦する可能性がある,とも言えるわけです。であれば,実戦環境が失われるのは確かにもったいないような気もするけれど,反面で「結果オーライ」な側面もあるかな,と思うのです。


 U−22のチーム・ビルディングにとって,この不参加がネガティブにならないような工夫,厳しいリーグ・スケジュールの中で,9月の最終予選に向けてどのようなジャンピング・ボードが必要なのかを含めて,JFAやJがしっかりと対応してほしい,と思います。