リーグ戦化した高円宮杯。

昨季までは,「欧州カップ戦」型のトーナメントでありました。


 リーグ戦的な要素を確かに持ってはいるけれど,あくまでもカップ戦,と考えるべきトーナメント,であります。であれば,カップ戦から“ホーム・アンド・アウェイ”なリーグ戦への変更であって,基礎構造からの大規模な変更,ということになります。


 今回は,JFAのニュースリリースをもとに書いていこう,と思います。


 さて。高円宮杯カップ戦からリーグ戦へ,という変化をまず取り上げたわけですが,実際には2種のあり方を大きく変化させる,その一環として捉えるのがフェアではないかな,と思います。端的に言ってしまえばカップ戦を基礎構造としていた2種に,階層化したリーグ戦という発想を持ち込み,小さなピラミッド構造を新たに構築した,と見ていいように思うのです。この小さなピラミッドの頂点に位置するのが,“プレミアリーグイースト”であり“プレミアリーグ・ウェスト”であります。このリリースによると,今季の参加枠,および参加資格は,

 過去3年間の高円宮杯全日本ユースU-18サッカー選手権大会の成績を地域別にポイント化し、配分された地域枠数をもとに、JFAプリンスリーグU-18 2010の成績上位チームを選出


とのことです。そして,この下部リーグとして位置付けられることになるのがプリンスリーグで,このプリンスリーグもプレミアと同じく,ホーム・アンド・アウェイなリーグ戦へと変更を受けることになっています。


 さてさて。今季の参加チームを見てみますに,「なるほど。」と納得するチームがクレジットされているな,と思います。たとえば,FC東京U−18やヴェルディ・ユース,そして「街クラブ」の雄である三菱養和ユース,というように。そんな中に,浦和ユースのクレジットを見つけられる,というのはうれしい限りでもあるのですが,反面でクレジットされていてもおかしくないはずのチームがクレジットされていないな,という印象もあります。となると“プレミアリーグ参入戦”に恐らくそのクレジットされていないチームは出てくるだろうし,いささか気の早すぎる話になりますが,来季のトップフライト,などということになる,かも知れません。


 ここ数季,カップ戦を戦うとしても,カップ戦「だけ」に最適化した戦術,あるいはパッケージを意識したチームは減少傾向にあって,むしろチームごとの色,と言いますか,明確なフットボール・スタイルを意識しているチームが増えてきているな,という印象を持っています。その傾向は,長期にわたるリーグ戦によって,より明確なものになるのではないかな,と思っています。さらに,チームとしての「総合力」がより厳しく問われるようにもなるだろうな,と。サスペンションのみならず,負傷などによってチームをベストなパッケージで組めない,という形も出てくるはずですし,チームとしてのパフォーマンス,コンディションをどれだけ高みで安定させられるか,という側面も問われてくるはずです。それだけに,コーチング・スタッフには短期決戦を駆け抜けるためのマネージメント,と言うよりも,長期戦で求められる,ある意味ではより繊細なチーム・ハンドリングが求められるようになってもくるだろうな,と見ているわけです。


 2種なフットボーラーにとって,長期にわたるリーグ戦はなかなかに刺激的なものだろうな,と思うと同時に,その刺激はコーチング・スタッフな方々にとっても同じことかも知れない,と思います。それこそ,“S級”が持つ意味がより重くなるように,個人的には感じられるところです。