Champions!(AFCアジアカップ2011)

チーム・ビルディングを進めながら,結果を求める。


 難しいハンドリングだっただろうな,と思います。


 そもそも,時間的な余裕が作れない状態でチーム・ビルディングが始まっていたな,と。合宿段階ではひとが集まらず,アジアカップへの準備という側面で見れば決して理想的とは言えない形でした。大ざっぱに言ってしまえば,実戦を通じてチームの熟成を図っていくような,そんなやり方だったか,と思うのです。それだけに,ファースト・ラウンド初戦で勝ち点を落とさなかったことが,あとあとに大きな意味を持ったような感じがします。


 AFCアジアカップであります。4度目のカップ奪取であります。


 決勝戦を大ざっぱに振り返るならば,戦術交代がひとつの鍵だったかな,と思いますし,もうひとつの鍵はやはり,「個」の技術と機動性,ということになるかな,と思います。相手が仕掛けてきたフットボールは,ある意味シンプルなものでした。物理的なアドバンテージを生かすために,ゲーム・プランを組む。そして,そのプランから大きく外れることはない。それだけに,相当な脅威を感じる時間帯もありましたし,ギリギリで彼らの攻撃を跳ね返した時間帯もあった。
 そんな相手に対して,アルベルトさんは守備的に構えるだけではなくて,やはり攻撃を意識した戦術交代を仕掛けるという判断をした。守備面でのバランスを整えると同時に,チーム・バランスをちょっとだけ攻撃面でスムーズに機能するような形での戦術交代,であります。
 ここまでは,ある意味でロジカルな話です。
 アルベルトさんの勝負師としての感覚を感じることになるのは,トップの交代,であります。ザッケローニさんが信じてピッチへと送り出した忠成選手が,長友選手からのトラバースに反応,左足でのボレーをゴールマウスへと沈める。イチロー選手(斎藤君も借りているはず。)の言葉を借りますが,やはり「持ってる」のでありましょう。


 さてさて。ちょっとトーナメント全体を振り返ってみると。


 急速にチーム・ビルディングが進んだな,という印象を持ちます。ワールドカップからフレームを引き継いでいる,という側面も作用しているか,とは思いますが,それでもディテールの変更点はしっかりと存在しています。その変更点を,実戦を通じて的確に消化していったな,と思うわけです。
 楽しみなチームになってきているな,と思いますし,足掛かりとしてこれ以上ないものを獲得できたな,と感じるところです。