対韓国戦(AFCアジアカップ2011)。

ペナルティ・シュートアウトに持ち込んでしまったこと。


 チームが潰れる時間帯を延長戦につくってしまったのは大きな課題だと思いますが,自分たちが振り回されるのではなく,相手を振り回す戦い方ができてきている,ということもまた,確かではないかな,と思います。


 相変わらず遅筆堂,な韓国戦であります。


 まず,立ち上がりの時間帯を考えるに。


 ちょっとだけ,意外な立ち上がりでありました。相手がもっと積極的に仕掛けてくるのではないか,と考えていたのです。
 どのように試合を組み立てていくか,という「観察」の時間帯を省略して,主導権を強引にでも掌握しようと縦への積極性を前面に押し出す。そんな姿勢が意外なほどに抑えられていたように映ります。そのためか,立ち上がりの時間帯から,自分たちが狙うフットボールを表現できる時間帯が見えていた。攻撃,守備両面において距離感が維持できているから,ボール・コントロールを奪い返す,そこから攻撃を仕掛ける,という部分がスムーズに表現できていた。それだけに,早い段階での先制点奪取が大事な要素になるな,と思っていたのですが,実際には先制点を相手に奪われる結果となった。「縦」を意識したシンプルな攻撃に対しての守備応対で,PKを取られる結果となったわけです。
 ただ,この試合にあっては先制点奪取によってリズムを崩す,という事態に陥ることはなかったように感じます。立ち上がりの時間帯から表現できていた,自分たちのフットボールを見失う,抑え込まれるようなことにはならなかった。試合を50/50の状態へと引き戻すことになる局面も,しっかりと個が組織的に機能することで,相手守備ブロックを揺さぶりながらフィニッシュへと持ち込むことができていた。


 であれば,50/50の状態を自分たちに引き寄せることも,と思ったのですが,「相手を振り回す」ところまで自分たちのフットボールを表現できながら,その振り回した結果がフィニッシュとして結び付かず,膠着した形で90分プラスを経過してしまうことになる。延長戦突入,であります。
 延長戦で,均衡を破るきっかけとなったのはPKでありました。
 PKを沈めれば,リードを奪える。そんな局面でありましたが,ワンチャンスでボールをゴールマウスへと沈めることはできなかった。ゴールマウスへとボールを突き刺しに行ったのは,ボックスよりも後ろのエリアから詰めていった,細貝選手でありました。彼の判断が,ゲームを動かす要素となった。この局面から,どのようにしてゲームをクローズするか,が大きな要素になったと思うのですが,この試合ではクローズは上手くいかなかった,と言うべきだろう,と思います。延長戦もアディショナル・タイムという時間帯,チームは潰れた状態での守備応対になっていた。ひとの数,という部分では確かにいるように見えて,いささか窮屈な状態に追い込まれていたようにも見える。この時間帯の対応は,決勝戦に向けて修正すべき課題かな,と思います。


 そして,決勝戦への切符,その行方はペナルティ・シュートアウトに委ねられることになる,と。


 ファースト・キッカーがしっかりと決めたこと(その前がその前でしたから。)も大事でしたが,それ以上にゴーリーの川島選手が「読み切って」いたことが大きな要素だったな,と思います。相手の1番手,そして2番手を連続して抑えたことで,3番手は相当なプレッシャーを背負ってポイントへと入っていったように感じられます。


 さてさて。決勝戦への切符を奪い取りました。ここまでも厳しい試合だったかな,と思いますが,フットボール的に厳しかった,と言うよりも,ゲーム・マネージメント的に厳しかった試合の方が多かったようにも思います。が,この試合は両方で相当に厳しかった。やっと,真剣勝負の国際Aマッチらしい試合になったかな,と。クリアすべき課題が,この試合でも出てきてはいたけれど,このチームは試合を通じてさまざまな蓄積をしてきているはずだ,とも思います。厳しく見れば違った見方もあるかも,と思いますが,2014に向けたステップ(初期段階から中期へのブリッジ)としては,決して悪くない,と個人的には見ています。


 あとひとつ。「勝って終わる」ためにいい準備を,と思います。