レギュラーシーズン終了(ラグビー・トップリーグ)。

ここからが,難しいカップ戦です。


 あくまでも,ここからの短期決戦が重要な試合である,というわけです。


 レギュラーシーズンでの順位はあってないようなもの。それだけに,最終節での完成度,よりも,カップ戦に向けてどれだけチームのコンディションを整えられるか,が求められていくことになるし,相手のラグビーを抑え込むと同時に自分たちのラグビーへと引き込んでいくための方法論を構築することが求められる。清宮さんの表現を借りれば,どのように「ストーリー」を書き上げていくか,が求められる時期です。


 さて。フットボールの話に戻しますが,アソシエーションではなくて楕円球な話をスポーツナビさんのニュース記事をもとに書いていこう,と思います。


 ラグビートップリーグは全13節のリーグ戦を終了し,ブレイブルーパスワイルドナイツヴェルブリッツ,そしてサンゴリアスプレーオフ・トーナメントへの切符を確保しています。ここで明確に順位を書けないのは,最終的な順位が確定するのは,プレーオフ・トーナメント終了後,だからです。
 フットボールな感覚で考えると,レギュラーシーズンが順位決定に直結する要素なのだから,ひとつでもポジションを上げてシーズンを終了したいと考えるのが当然なのですが,トップリーグはどこか,野球的な発想に立脚しています。あくまでも,レギュラーシーズンはポスト・シーズンへの切符を奪うためにある,と。であれば,どの位置で切符を奪取するか,というのはそれほど大きな問題ではなくて,ポスト・シーズンに進出できるポジションに入れるのかどうか,が大きな問題なのです。


 最終節,秩父宮で開催された2ゲームはプレーオフ・トーナメントのカードとまったく同じです。このことを意識して振り返ってみれば,各チームは再戦の可能性を相当程度に意識しながら戦っていただろう,と思います。穿った見方になるかも知れませんが,100%自分たちのラグビーを表現するような戦い方を選択するよりも,相手のラグビーを実戦を通じてスカウティングするような,そんな戦い方を選択したチームもあったのではないかな,と思います。


 と言うのも。


 実際,ここ数季はレギュラーシーズン首位がリーグ・チャンピオンという称号を受けているわけではありません。ポスト・シーズンでの戦い方を失敗するようなことがあると,レギュラーシーズンでどんなに安定した戦いぶりを見せ付けようと,「結果」を引き寄せられないという結果に立ち至るわけです。あくまでも重要なのは最終順位であって,レギュラーシーズン終了時の順位ではない,というわけです。つまり。ヴェルブリッツの後塵を拝することになった(とは言え,1点差でありますからごく僅差,ではありますが。)ワイルドナイツは何らかの意図(リーグ・チャンピオンを逃してしまった過去の轍)を意識して最終節に臨んだのではないか,と思いますし,ブレイブルーパスに退けられる形となったサンゴリアスにしても,再戦を意識した戦い方をどこかに織り込んではいなかったかな,と思うのです。


 短期決戦には,独特の空気があってそれはそれで魅力的ではあります。ありますが,長期にわたるリーグ戦を戦う,という感覚がないままでいいのだろうか,という疑問がどうしても残ってしまいます。総合力を持ったチームが優勝に向けた勝負権を持つべき,だと思いますし,逆側から見れば,降格を意識せざるを得ないチームはゲーム・マネージメントという部分で明確な姿勢,シビアな姿勢が必要となってくる。そのどちらもが,どうも曖昧に感じるのです。
 明確にホームという意識もないのに,2回戦総当たり制はなかなか馴染まないのでは,などという議論もあろうか,と思いますが,ラグビーにあってもホームを意識すべきは当然だし,戦い方の柔軟性を含めた総合力を争うのがリーグ戦のあるべき姿ではないかな,と個人的には思ってしまうのです。