戦力動向。

IN方向については,「既報通り」が多いのですが。


 まだINなのかOUTなのか,明確な方向性が打ち出されずに残っている部分もありますし,2011シーズンに向けた戦力動向は正確には確定していない,と言うべきかな,と思います。


 ひさびさに,浦和な話を書いていこうと思います。


 2010年段階から補強に動いていたことを指して,スポーツ・メディアは大型補強路線への回帰,などという表現を使っているようにも感じます。けれど,果たしてそうだろうか,と。アウトサイドから見る限り,メルカートに強いインパクトを与えるような動き方はしていないのではないか,と感じるところです。当然,アルビレックスから戦力を獲得するケースが複数(マルシオ・リシャルデス選手に永田選手)ですから,アルビレックスに対しては相応のインパクトを与えているとは思いますが,浦和の戦力構成を冷静に眺めてみれば,ビッグネームによるインパクトよりも,「バランス」を意識しているように映るのです。
 あくまで好意的に解釈すれば,ですが,前任指揮官の「置き土産」が一定程度クラブに浸透している,とも言えるでしょうか。前任指揮官は就任直後から,浦和に強さを取り戻すための鍵として,(いささか漢方的に過ぎることが問題視されたようですが)「世代バランス」を強く意識していたところがあります。単純に,若手重視というわけでもなく,さりとてベテラン偏重というわけでもない。チーム・バランスにも意識を振り向けながら補強を進めていく,という部分は,ちょっとだけ,クラブの意識が変化してきたのかな,と「思いたい」ところです。が,補強内容を見ると,ポジション・バランスとして考えてどうなのだろうか,と思うところがやはりある。ポジション別の競争を活性化させるという意図があるならば話は別だけれど,ならばチーム・マネージメントはもっと緻密にならないと戦力維持が難しくもなる。全体として考えると,ニュートラルに考えるべきかな,と思うところではあります。


 また,2010シーズンでクラブを離れたフットボーラーを思えば,彼らが表現してきたパフォーマンスを100%補う,と言うよりはポテンシャル込みの状態で戦力整備を,という意図が透けて見えるようにも感じるところです。
 実際にクラブを離れたフットボーラー,彼らのパフォーマンス(言うまでもなく,100%フィットであることを念頭に置いています。)を考えれば,確かにスポーツ・メディアが言うところの「大型補強」へと踏み出す必要性が相当程度に感じられるところです。しかし実際には,メルカートインパクトを与えるような形で動いているわけではないように映る。この点,世代バランスにも意識を振り向けているようではあるけれど,同時にクラブ・マネージメント,特にフィナンシャルな部分とのバランスを意識した,そんな動き方でもあるように感じます。


 対して,ちょっとだけ気になる部分としては。


 ジェリコさんの意図がどの程度反映されているだろうか,という部分でしょうか。今季からファースト・チームを預かる,その前提としてどのような戦力で10シーズンを戦ってきたか,クラブとしてどのような部分で不足を感じたか,などクラブからのブリーフィングがあったはずだと思うわけです。そしてもちろん,ジェリコペトロヴィッチというフットボール・コーチが描きたいと思うフットボールを表現するにあたって,どのような戦力が必要なのか,ある程度のリクエストがあって当然だろう,と。
 そのリクエストが,どの程度反映されているだろうか,というわけです。現段階では,クラブ主導でメルカートを立ち回っているとも受け取れるわけですから,新任指揮官の戦力整備に対する要望を相当程度に反映する形での補強策なのかどうか,判断は難しい。また,機動的にメルカートで動くためにもある程度の「余地」は残しておきたい。そんな意図があるとすれば,ほぼ2011シーズンに向けた準備,クラブがコミットする形での準備は整った,という感じではあるのかな,と感じます。