2010仕様な“spec C”。

ちょっとだけ,乗りやすくなったかも知れませんね。


 と言うと,鋭い感じが薄れたのかも,と受け取られるかも知れませんが,いつでも使える「鋭さ」へと進化した,という表現をすべきかな,と思います。使える回転域が限定される,ということではなく,使える回転域を広げてきたわけですから。小さな変更と言えば小さいかも,ですが,こういう変更がスポーツには大きな意味を持つのです。



 さて。今回はフットボールを100%離れまして,webCGさんのニュース記事をもとに,年次改良が施されたインプレッサWRXのことを書いていこう,と思います。


 この記事をまとめた関さんは「体育会系」という表現を使っておられますが,まさしく体育会系な,スポーツ・モデルであります。
 プライス・タグから考えるならば,プレミアム・スポーツに軸足を置いても決して不思議はないモデルレンジです。実際,2500cc・シングルスクロール・ターボエンジンを搭載するモデルは,WRCマシンの血統として考えるよりも,ちょっとだけプレミアム・スポーツ路線へと意識を傾けたモデルとして設定されています。トランスミッションにしても,スティックシフトではなくてオートマチックだけが設定されていますし。そんなモデルよりも高い価格設定なのだけれど,快適装備面で考えるならば簡素化されているわけです。つまりは,「走ってナンボ」な装備,そして軽量化におカネをかけている,と。


 で,最も興味深かったのはECUセッティングの変更だったわけです。


 関さんがまとめた記事を読むと,2009モデルと最大出力は同じではあるけれど,トルクを引き上げる方向でマッピングを変更,さらには最大トルクを発生する回転数を引き下げる方向でリセッティングを施してきたようです。
 これは,実戦的な変更だな,と感じます。
 ターマックにせよダートにせよ,ラリー・フィールドでは直線はそれほど多くはありません。曲率が緩いケースもあるけれど,基本的にはカーブが多く用意されたコースを走ることになるはずです。そのときにエンジン回転数はどのような動きをするか。ギリギリまで落とすとなれば,アイドリング近くにまで回転数が低下するケースも出てくるかも知れません。ここから鋭く脱出を仕掛けたいし,マシンをできるだけ速くスピードに乗せたい,と。となると,あまりに高回転域にピークが集中してしまうエンジンは,「扱いやすさ」という部分で問題を抱えることにもなるな,と思うのです。低回転域からでもトルクが引き出せるとなれば,そしてピークパワーが落ちていないとなれば,開発スタッフは実戦を意識してリセットを狙ったな,と。


 関さんによると,2010モデルはホモロゲーションを取得してはいないようですが(ちょっともったいない気もします),2009モデルに対してコンバージョン・キットを用意しているとのことですから(恐らくはサスペンション・キットであったり,ECUなどをセットしているかと思われます。),地道に,でも着実に戦闘力は上がるだろうな,と感じるところです。こういうところ,トヨタとの関係が深まっているにしても,「マジメな」富士重工らしいな,と思います。